てんかんとは、脳の細胞が電気を発し、それが全体に広がることで起こる発作の症状のことを言います。
正常な脳であれば、一部が電気を発しても他の細胞が抑えて元の状態に戻しますが、てんかんになると同時多発的に神経細胞がショートしてしまうのです。
こちらの記事ではてんかんの症状や原因、寿命について詳しく解説します。
てんかんの主な症状は発作ですが、1回きりの発作であればてんかんとはいいません。てんかんの定義としては、「突然の発作が24時間の間隔で最低2回起きること」とされています。
てんかんの発作には2種類あります。
脳の一部分の神経細胞がショートし起きる発作のことを言います。この場合、ショートした場所によってけいれんを起こす部位がまちまちで、四肢や頭など特定の場所を繰り返し上下左右に動かします。
また、落ち着きがなくなったり嘔吐したりといった症状も見られます。意識がある状態が多いのが特徴です。
てんかんを起こすと、ほとんどの場合全般性てんかん発作を起こします。具体的な症状は、突然意識を失い激しくつっぱったり、四肢を高速で動かしたり、焦点性のものより激しいけいれん症状になります。
奇声を発することもありますが、全般性の場合は意識がないため痛みや苦しみによるものではありません。
焦点性発作からすぐに全般性発作に進行することもあります。
てんかんの発作が30分以上続いたり、1回の発作から回復することなく次の激しい発作を起こすことを重責発作といい、てんかんの中でもっとも危険な状態とされています。
この状態を放っておくと最悪命を落としてしまうことになるため、緊急に処置を行う必要があります。
初めての発作でも重責状態になることがあります。
犬がてんかんの発作を起こす頻度はまちまちですが、毎日起こすこともあれば、年に1~2度ということもあります。
また、年を取るにつれて頻度が多くなる場合や、逆に少なる場合もあり、個体差が大きいのも特徴の一つです。
てんかんの原因も特発性と二次性の2種類に分けられます。
原因がはっきりとわからないてんかんのことを言いますが、遺伝的要素が大きく関係していると考えられています。犬が起すてんかんのほとんどは、この特発性タイプです。
他の病気と同じように、てんかんも遺伝によって起きることがあります。特定の遺伝子がてんかんを起こしやすいというだけでなく、いくつかの遺伝子が重なって染色体異常を起こすということがわかっています。
ミニチュアダックスフンド、プードル、ビーグル、シェパード、ハスキー、レトリバー系、ハスキー系、ボーダーテリア、アメリカンコッカ―スパニエル、イングリッシュコッカ―スパニエル、ウェルシュコーギーペンブローク、コリー、シェットランドシープドッグ、セントバーナード、ボクサー、ダルメシアンなど。
てんかんとの関連はまだはっきりとはわかっていませんが、過度なストレスがかかることによりてんかんを起こす可能性があるとされています。
遺伝的要素も環境的要素も考えにくく、全く原因がわからないままという場合もあります。
交通事故による外傷や脳腫瘍などにより、引き起こされたてんかんのことを言います。
外傷的原因とは、交通事故などの大きな衝撃により脳にダメージが与えられ神経細胞に異常をきたすこと。子犬の脳が柔らかい時であれば、交通事故程の大きなダメージではなくてもちょっとした衝撃で細胞が壊れてしまうこともあります。
脳に関係するあらゆる病気により脳細胞が破壊されることが考えられます。その中でもいちばん影響を受けやすいのが脳腫瘍で初期症状としててんかんを起こすこともあります。
その他、難産などによる低酸素症やウィルス感染による脳細胞の炎症なども原因になり得ます。
食べ物が犬のてんかんの原因になることはありませんが、チョコレートやキシリトールなどを口にすることによって中毒を起こし、てんかんのような発作が出ることがあります。
中毒は反応性発作であるため、てんかん発作と分けて診断されますが、見分けがつきにくい場合もありますので、まずは病院で診てもらうことをおすすめします。
犬に与えてはいけない食べ物については別の記事でまとめていますので気になる方はぜひ見ていただければと思います。
てんかん発作を起こす犬の寿命は、発作の頻度や基礎症状、治療の効果、疾患の有無などによって大きく異なります。
てんかんが適切に管理された状態(3ヶ月に1回以下程度)であれば、寿命にほとんど影響を及ぼさないこともあります。
現在、てんかんはほとんどの場合薬でコントロールすることができるため、健康な犬と同じくらいの寿命を全うすることができるといわれています。
しかし、頻繁な発作や、長時間続く重積状態の場合には命にかかわるリスクが高くなります。また、てんかんの原因が脳腫瘍や感染症などの深刻な疾患の場合、その疾患自体が寿命にかかる可能性があります。
特発性てんかんは、原因がはっきりとしないことが多いため、完治させるのは難しいとされています。放置すると悪化することがあるため、基本的には投薬治療になります。
しかしながら、抗てんかん薬の投与で症状を軽くしたり、頻度を減らしたりなどコントロールすることは可能です。
二次性(病候性・症候性)てんかんについては、原因に応じた治療をすることで治ったケースもあります。
てんかんは、脳の細胞が電気を発し、それが全体に広がることで起こる発作の症状のことを言います。そのため、脳の働きをサポートする食事が大切になります。
食事は直接てんかんを治療するものではありませんが、正しい栄養管理が発作の頻度や重症度を軽減する効果を高めます。以下は、脳の健康をサポートする栄養素と多く含む食品です。
MCTオイルは、犬や猫にも人間同様の効果が期待され、てんかんの他にも認知症の予防にも役立ちます。
鮭(サーモン)、サバ、青魚などの脂がのっている魚やアマニ油に多く含まれます。
ささみには、脳神経の健康を維持するナイアシン(ビタミンB群)が豊富に含まれています。マグネシウムが多い食べ物には、納豆や海藻類などがあります。
単糖類(ブドウ糖)を多く含むかぼちゃやサツマイモも脳に良い成分だとされています。おやつとして与えるのもおすすめです。
すべててんかん予防に役立つ栄養素ですが、与えすぎると低血圧や肥満など健康に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。