
犬の外耳炎は、気づかないうちに悪化してしまうことが多い耳のトラブルです。かゆみや耳垢の変化など、初期のサインは見落としやすいものの、早めの対処で症状の進行を防ぐことができます。
この記事では、外耳炎の症状や原因、治療の流れ、自宅ケア、市販の耳洗浄液の選び方までわかりやすくまとめています。愛犬の耳の状態が気になるときの判断材料として役立ててください。
耳の異変は悪化しやすいため、緊急性のあるサインを最初に押さえておくことが大切です。受診が必要なケースと、家庭で様子を見られるケースを整理しておくと、不安な場面でも落ち着いて判断できます。
耳を強く痛がる、触ると怒る、頭を激しく振り続ける、耳から悪臭が出る、膿のような分泌液があるといった症状は、外耳炎が進行しているサインとして見られます。
耳ダニの寄生や細菌の増殖が疑われる場合もあり、放置すると中耳炎へ進行する可能性もあります。これらの異変が見られるときは、早めに動物病院で検査と治療を受けることが重要です。
軽い耳のかゆみや、少量の耳垢が増えた程度で元気や食欲に問題がない場合は、短期間の様子見が可能なケースもあります。
ただし、この段階でも状態が悪化しないよう耳の中を無理に触らず、耳垢の色やにおいの変化がないかを慎重に確認します。
数日以内に改善が見られない、または症状が少しでも強まる場合は、症状の進行を防ぐために受診へ切り替える判断が大切です。
外耳炎は、耳の入り口から鼓膜の手前までの「外耳道」に炎症が起きた状態を指します。かゆみや耳垢の増加など初期段階のサインは見えにくいこともあり、気づいたころには悪化しているケースも少なくありません。
基本的な位置関係とタイプを理解しておくと、症状を見極めやすくなります。
外耳炎は、耳の外側から鼓膜までの細長い通路である「外耳道」で炎症が生じる病気です。
外耳道は皮膚の延長部分で湿気がこもりやすく、細菌や真菌が増えやすい環境が整いやすいため、耳垢の蓄積や通気の悪さが続くとトラブルが起こりやすくなります。
構造的にカーブが多い犬の耳では、汚れが奥に残りやすいことも外耳炎の発症につながります。
外耳炎には短期間で強い症状が出る「急性」と、炎症と改善を繰り返し長引く「慢性」の2つのタイプがあります。急性の場合はかゆみやにおいが急に強まることが多く、早期の治療が効果的です。
一方、慢性ではアレルギー体質や耳の構造が影響し、軽い症状が続きやすいのが特徴です。慢性化すると再発リスクも高まるため、治療とあわせて日常的なケアや環境調整が欠かせません。
外耳炎は初期サインが小さく見えづらいため、日常の中で「いつもと違う行動」や「耳のにおい・耳垢の変化」に気づけることが早期発見につながります。症状が軽いうちに対処できれば、治りも早く再発予防にもつながります。
外耳炎の初期症状としてよく見られるのが、耳をしきりに掻く、頭を強く振る、床や家具に耳をこすりつけるといった行動です。耳の中に炎症や違和感があると、こうした動作で不快感を紛らわせようとします。
軽い段階では一時的な仕草に見えることもありますが、頻度が増えたり片側だけを気にしている場合は注意が必要です。痛みを伴うこともあるため、耳を触られたがらないときは受診を検討しましょう。
外耳炎になると、耳垢の量が急に増えたり、色が濃くなる、ねっとりとした質感になるなど、いつもの状態と違う変化が現れます。特に、黒っぽい耳垢は耳ダニの可能性があり、黄色や茶色のベタついた耳垢は細菌や真菌の増殖が疑われます。
また、独特のにおいが強くなることも特徴で、においの変化は炎症の進行を見極める重要なサインです。耳の奥から温かさを感じるときも、炎症が進んでいる可能性があります。
外耳炎とひと口にいっても、その背景にある原因はいくつかのタイプに分かれます。どのパターンに近いのかを知っておくと、受診時に獣医師へ症状を説明しやすくなり、その後のケアの方向性もイメージしやすくなります。
愛犬の様子と照らし合わせながら読んでみてください。
犬の耳の中にはもともと細菌が住みついており、通常は大きなトラブルを起こさずにバランスを保っています。しかし、湿気がこもった状態が続いたり、耳の中が汚れたままになっていると、常在菌が一気に増えて炎症を起こすことがあります。
特に垂れ耳の犬や耳毛が多い犬は通気が悪くなりやすく、シャンプー後の水分が残っていると細菌性の外耳炎につながりやすくなります。耳掃除のやりすぎで皮膚を傷つけてしまうことも、細菌の増えやすい環境をつくる一因になります。
マラセチアは、皮膚や耳の中にふだんから存在している真菌の一種で、脂分の多い場所を好む性質があります。
皮脂分泌が多い体質の犬や、湿度が高い季節には、このマラセチアが増えやすく、ベタついた耳垢や独特の甘いにおいが目立ってくることがあります。
耳の中がいつも湿っている、こまめなケアができていない、といった状態が続くと、マラセチアが増えやすい環境ができあがってしまいます。においの変化や耳垢の質感が気になり始めた段階で気づいてあげることが、症状を軽いうちにおさえる助けになります。
耳ダニが耳の中に寄生すると、とても強いかゆみが出やすく、黒いコーヒーかすのような耳垢が大量に見られることがあります。耳を激しく掻いたり、頭を振るしぐさが増えるのも特徴です。
耳ダニは他の犬との接触や、多頭飼育の環境などからうつることがあり、感染が疑われる場合は動物病院での検査と駆除が欠かせません。
市販のケア用品だけでは完全に取り切れないことも多いため、「いつもと違う耳垢が急に増えた」「かゆがり方が強い」と感じたときは、早めに診てもらうほうが愛犬の負担を減らしやすくなります。
食物アレルギーや環境アレルギーを持つ犬では、皮膚のバリア機能が弱まり、耳の中の炎症が続きやすくなることがあります。
このような体質の子は、外耳炎だけでなく、足先をなめ続ける、体をかきむしるなど、全身のかゆみを伴うことも少なくありません。季節によって症状が強まる、皮膚の赤みやフケが同時に見られる、といった場合はアレルギーの影響が疑われます。
根本的なケアには、アレルゲンの見極めや長期的なスキンケア、フードの見直しなどが関わってくるため、獣医師と相談しながら向き合っていくことが大切です。
犬の耳の形や体質はそれぞれ異なり、外耳炎の発症リスクにも違いがあります。
特に通気性が悪い耳の構造や、皮膚トラブルを抱えやすい体質は炎症につながりやすいため、あてはまる場合は日頃のケアを少し丁寧にしておくことで早期発見にもつながります。
垂れ耳の犬は耳の中に湿気と熱がこもりやすく、細菌や真菌が増えやすい環境が続きやすくなります。また、耳の奥まで耳毛が密に生えている犬種では、耳垢や皮脂がたまりやすく、空気が通りにくい構造が外耳炎を招きやすい要因になります。
ゴールデン・レトリバー、アメリカン・コッカー・スパニエル、シー・ズーなどは、日頃から耳の状態を軽くチェックしておくと小さな変化に気づきやすく、早めのケアにつながりやすくなります。
皮膚のトラブルが出やすい犬や脂分が多く分泌される体質の犬は、耳の中の皮膚バリアが弱くなり、外耳炎を繰り返すきっかけになることがあります。
特にフレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種、シー・ズーのように皮膚が敏感な犬種は、耳の中の湿気や汚れが少し溜まるだけで炎症につながってしまうこともあります。
普段から皮膚の状態を観察し、季節の変化で耳の様子が変わる場合はこまめなケアを心がけると症状が安定しやすくなります。
・ゴールデン・レトリバー
垂れ耳で通気性が悪く、皮脂分泌も多いため湿気がこもりやすい体質です。耳の中が蒸れて細菌やマラセチアが繁殖し、外耳炎を起こしやすい傾向があります。
・アメリカン・コッカー・スパニエル
長く厚い耳を持ち、通気性が悪く湿度がこもりやすい犬種です。脂漏体質の子も多く、耳垢がたまりやすいため慢性的な外耳炎を繰り返すことがあります。
・ビーグル
垂れ耳で風通しが悪く、外での活動が多いため汚れが入りやすい犬種です。湿気が耳の奥に残りやすく、細菌やカビが繁殖して炎症を起こすことがあります。
・トイプードル
耳の中に毛が密集しており、通気が悪く湿気がこもりやすい体質です。毛が伸びると耳垢がたまりやすくなるため、定期的な耳毛のケアと清潔管理が大切です。
・シーズー
皮脂分泌が多く、耳道にも毛が生えやすいため汚れや湿気がこもりやすい犬種です。細菌が繁殖しやすく、こまめな耳掃除を怠ると外耳炎を起こしやすくなります。
・パグ
皮脂分泌が活発で、耳の中に汚れがたまりやすい体質です。短頭種で皮膚もデリケートなため、耳の環境が悪化すると炎症を起こしやすく注意が必要です。
・フレンチブルドッグ
立ち耳でも皮脂分泌が多く、耳垢が酸化して炎症を起こしやすい体質です。敏感肌の子も多く、こまめな耳の清潔ケアと保湿が外耳炎予防のポイントです。
外耳炎の治療は、原因に応じて薬を使い分けながら炎症をおさえていく流れで進みます。治療のステップや通院の目安を知っておくと、診察前の不安が軽くなり、どの程度の期間で落ち着くかもイメージしやすくなります。
外耳炎が疑われる場合、動物病院ではまず耳の中を視診し、耳垢を採取して原因となっている細菌・真菌・耳ダニの有無を顕微鏡で確認します。炎症が強い場合は耳道の腫れが見えにくくなるため、早期の受診が診断のしやすさにもつながります。
治療は、洗浄で汚れを落とし、必要に応じて抗生剤・抗真菌薬・抗炎症薬などを使って症状をおさえていく流れが一般的です。軽度なら数回の通院で落ち着くことが多く、慢性の場合は原因に合わせてケアを継続していきます。
外耳炎の治療費は、診察料・検査・洗浄・薬代を合わせると1回あたり3,000〜8,000円ほどが一般的な目安です。
初回は検査が入るためやや高くなり、再診では費用が抑えられることもあります。軽度であれば1〜3回の通院で改善するケースが多い一方、アレルギー体質や慢性化している場合は継続的なケアが必要になることもあります。
治療期間や費用は症状の程度で変わるため、診察時に見通しを聞いておくと今後のケア計画が立てやすくなります。
外耳炎の治療とあわせて、自宅でのケアを整えておくと症状の安定や再発予防につながります。耳はデリケートな部分のため、強くこすらず、負担の少ない方法を選ぶことが大切です。愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲で取り入れてみてください。
耳洗浄は、汚れを落として耳の中の環境を整えるために役立ちますが、やり方を誤ると炎症を悪化させる原因にもなります。犬用の洗浄液を耳に数滴入れ、耳の付け根をやさしくマッサージして汚れを浮かせるのが基本の流れです。
綿棒を使うと奥を傷つけやすく、汚れを押し込んでしまうこともあるため避けた方が安心です。洗浄後は軽く振って汚れを出させ、出口付近を柔らかいガーゼでそっと拭き取るだけで十分です。
嫌がる場合は無理をせず、少しずつ慣らしていくことが負担の少ないケアにつながります。
耳の中が湿った状態が続くと、細菌や真菌が増えやすく、外耳炎の症状を長引かせることがあります。シャンプー後は耳の中に水が入らないように注意し、濡れた場合はしっかり乾燥させることが大切です。
垂れ耳の犬や耳毛が多い犬は通気性が落ちやすいため、日常的に耳の付け根を軽く持ち上げて風を通すなど、小さな工夫で湿気がこもりにくくなります。
夏場や雨の日など湿度の高い時期は耳の中の変化が出やすいため、耳垢の量やにおいの変化をときどき確認しておくと悪化を防ぎやすくなります。
外耳炎の初期の違和感や再発予防のケアには、市販の耳洗浄液などのグッズが役立つことがあります。家庭で取り入れたいケア用品の種類や選び方のポイントを押さえておくと、愛犬の耳の健康管理がしやすくなります。
症状が強いときや耳の中に出血・膿がある場合は自己判断で使わず、まず動物病院で状態を確認しましょう。
市販の耳洗浄液には、汚れを浮かせて取り除くタイプや、耳の中をすっきり保つことを目的にしたタイプなど、いくつかの種類があります。選ぶときは犬専用であること、低刺激でアルコールや強い香料が少ないことを確認すると安心です。
炎症を抑える成分が入った点耳薬タイプもありますが、愛犬の体質や耳の状態に合ったものを選ぶことが大切です。
市販の耳洗浄液を使う前には、耳の中に強い赤みや出血、膿のような分泌物がないかを確認しましょう。これらの症状がある場合は洗浄で悪化するおそれがあるため、使用を控えて受診を優先します。
使用するときは、適量の洗浄液を耳に入れて耳の付け根をやさしくマッサージし、犬が頭を振って汚れを外に出したあと、出口付近だけをガーゼやコットンでそっと拭き取るのがコツです。
綿棒で奥までこする必要はなく、週1〜2回程度を目安に、汚れが気になったタイミングで取り入れるくらいがちょうどよい頻度です。
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外耳炎は人にうつる?
犬の外耳炎の多くは、犬の皮膚や耳の中にもともといる細菌や真菌が増えすぎることで起こります。そのため、通常は人にうつる心配はあまりありません。ただし、耳ダニが原因の場合は他の犬にはうつることがあるため、多頭飼いの家庭では接触を控え、同居犬も含めて診てもらうと安心です。
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耳掃除は週何回が目安?
耳掃除は多ければよいわけではなく、やりすぎると皮膚を傷つけたり、かえって炎症を長引かせることがあります。一般的には、耳の汚れが少ない子なら月に1〜2回、汚れがたまりやすい子でも週1〜2回程度を目安にすることが多いです。耳垢の量やにおいが急に変わったときは、回数を増やすよりも一度受診して状態を確認してもらう方が安心です。
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子犬でも耳洗浄液は使える?
子犬でも、犬用に作られた低刺激タイプの耳洗浄液であれば使えるものが多いですが、月齢や体調によって適したケアが変わることがあります。初めて使うときは、少量から試して様子を見ることと、強いアルコールや香料が入っていないかをチェックしておくと安心です。耳の赤みやかゆみが強い場合は、洗浄だけで済ませず、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
耳のトラブルは一度よくなっても再発しやすいため、日常的なケアや食事環境を整えることが大切です。生活面とフード選びを少し見直すだけでも、耳の状態が安定しやすくなります。
外耳炎を繰り返す犬では、耳の中が湿った状態になると細菌やマラセチアが増えやすくなります。散歩後や水遊びの後は、耳の中に水分が残っていないかを確認し、軽く乾かす習慣をつけると再発予防につながります。
垂れ耳の犬は耳が密閉されやすいので、換気を意識して耳を軽くめくって空気を通すだけでも違いが出ます。また、耳毛が伸びやすい犬種では、必要に応じて耳周りを整えると通気性が保ちやすくなります。
皮膚のバリア機能が低下していると耳の炎症が起こりやすくなるため、皮膚を健康に保つフードを選ぶことが再発予防にも役立ちます。
オメガ3脂肪酸や良質なたんぱく質を含むフードは、皮膚のうるおいを保ちやすく、外耳炎を繰り返す犬にも適しています。
また、食物アレルギーが影響している場合は、単一たんぱく質やグレインフリーなど、消化に負担をかけにくいタイプを選ぶと症状が安定しやすくなります。体質に合ったフードを続けることで、耳の状態も良好に保ちやすくなります。
犬の外耳炎は、耳の構造や体質、生活環境が重なることで繰り返しやすいトラブルです。早期の気づきと適切なケアを続けることで、悪化や再発を大きく減らすことができます。
耳のにおい、赤み、かゆみなどのサインを見逃さず、普段から耳の通気性を保つ工夫や、皮膚の健康を意識した食事選びを取り入れることが大切です。
市販の洗浄液を活用する場面もありますが、状態によっては治療が必要になる場合もあるため、無理のない範囲でケアしながら様子を見守りましょう。
日々の積み重ねが耳のコンディションを安定させ、愛犬が快適に過ごせる時間を増やしてくれます。

こんにちは、愛犬ごはんノート編集部 minamiです。現在は柴犬のムギ(9歳)とザネ(7歳)と暮らしています。
ムギは子犬の頃から皮膚が弱くアレルギー性皮膚炎があり、ザネは内臓が少し繊細。日々の食事が体調に大きく影響するので、これまで20種類以上のドッグフードを試してきました。
成分や原材料について調べるのが趣味のようになり、自分なりに学んだことや、実際に愛犬に与えてきたフードの体験談をこのサイトでご紹介しています。
愛犬の健康に不安がある方や、どのフードを選べばいいか悩んでいる方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。
運営者名:愛犬ごはんノート編集部 minami
愛犬の食事管理歴15年以上、20種以上のフード比較経験。
参照・取材方針:公的機関・学術資料を一次情報として優先し、体験談とは区別して解説します。
本記事は一般的情報であり、診断・治療の代替ではありません。医療判断は獣医師へ。