
犬の健康を守るうえで、ドッグフードの脂質量はとても重要なポイントです。脂質はエネルギー源として欠かせませんが、過不足は体調不良の原因にもなります。
本記事では、AAFCO基準をもとに適正な脂質量とフード選びの目安をわかりやすく解説します。
犬に必要な脂質量の目安を知ることは、フード選びの大切な第一歩です。脂質が持つ役割や、AAFCOが示す基準を確認しておきましょう。
脂質は犬の重要なエネルギー源で、体温維持・ホルモン生成・脂溶性ビタミンの吸収など、生命活動に欠かせない働きを担います。適正量を与えることで被毛の艶や皮膚の健康を保ち、元気で活動的な生活をサポートします。
逆に過剰または不足すると、肥満・代謝異常・皮膚トラブルなど体調不良の原因になるため注意が必要です。
AAFCO(米国飼料検査官協会)は、成犬用で粗脂肪5.5%以上、子犬用で8.5%以上を最低基準と定めています。活動量が多い犬や寒冷地で暮らす犬では、これを上回る脂質が必要になることもあります。
一方で、脂質が多すぎると肥満や膵炎のリスクが高まるため、15〜20%程度を上限の目安として考えると安心です。
参考リンク:AAFCO(米国飼料検査官協会)公式
犬の大きさや年齢、運動量によって必要な脂質量は変わります。体格やライフステージに合った基準を理解しておくと、無理のないフード選びができます。
推奨されるおおよその脂質量は、一般的な参考値であり、体重・体質・運動量・健康状態によって必要量は異なります。与える前に獣医師のアドバイスを受けることをおすすめします。
子犬は成長と代謝が活発なため、エネルギー源となる脂質を多めに必要とします。成犬は日々の運動量や体質、生活環境に合わせて適正量を維持することが重要です。
シニア犬では代謝が落ちるため、脂質をやや控えめにしつつ、消化しやすいフードを選ぶことで体重管理と健康維持を長期的にサポートできます。
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推奨される |
補足ポイント | |
|---|---|---|
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子犬 |
14〜20% |
成長と代謝が活発。 |
| シニア犬 | 8〜12% |
代謝が落ちるためやや低め。 |
小型犬は体重当たりのエネルギー消費が高く、適度な脂質が必要ですが、肥満リスクも高いのでバランスが大切です。
大型犬は関節や心臓への負担を考え、急激な体重増加を避けるため、脂質量を適切に調整することが望まれます。体格や生活習慣に応じた給餌管理が、長く健康を保つカギになります。
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推奨される |
補足ポイント | |
|---|---|---|
| 小型犬 | 12〜16% |
エネルギー消費が大きく、高めでも可。 |
| 大型犬 | 10〜14% |
関節・心臓への負担を減らすため控えめ。 |
活発に運動する犬は、エネルギーをしっかり補給するために脂質が多めのフードが適しています。一方、散歩や運動が少ない犬は、脂質が多すぎると肥満の原因になるため、控えめな量を選びましょう。
季節やライフスタイルの変化で運動量が変わるときは、フードの脂質量も定期的に見直すことが健康維持につながります。
フード選びでは、成分表示の見方や脂質とほかの栄養素とのバランスを意識することが大切です。タンパク質との関係や市販フードを選ぶときの注意点も押さえておきましょう。
ドッグフードのパッケージには「粗脂肪」という形で脂質量が表示されています。これは最低保証値であり、実際にはやや多めに含まれることが一般的です。
成分表は脂質だけでなく、タンパク質・繊維・灰分・水分など全体のバランスも併せて確認することが大切です。特に初めてのフードを選ぶときは、AAFCO基準を満たしているかもチェックしましょう。
成分の読み方に不安がある方は、ドッグフードの成分表の見方を一度確認しておくと安心です。粗脂肪だけでなく、タンパク質や灰分など、それぞれの意味を理解しておくことで、より正確にフードの品質を見極められるようになります。
脂質量だけを見て選ぶのではなく、タンパク質との比率を意識することで、より健康的なフード選びができます。タンパク質が少なすぎると筋肉量の維持が難しく、脂質が多すぎると肥満リスクが高まります。
詳しいタンパク質の必要量や選び方については、こちらの記事も参考にしてください。
低脂肪フードは体重管理や特定の疾患に配慮したいときに役立ちますが、脂質が少なすぎるとエネルギー不足や被毛のパサつきなどを招くことがあります。
成分表の脂質量だけでなく、総カロリーや給餌量もチェックし、愛犬の活動量や体調に合った商品を選びましょう。複数のフードを比較することで、より適切な選択ができます。
体重管理や特定の病気への配慮が必要なとき、市販の低脂肪フードは心強い選択肢になります。
ここでは代表的な商品を簡単に紹介し、詳しいレビュー記事へのリンクも添えました。さらに、AAFCO基準と実際のフード表示を比較する図で理解を深めましょう。
🐾 このこのごはん 低脂肪タイプ
国産素材を使用し、脂質を抑えつつ香りと食いつきを確保。小型犬の体重管理に人気。
🐾 ヒルズ サイエンス・ダイエット ライト
低脂肪・高繊維で体重管理向け。消化に優れ、成犬の体重維持におすすめ。
🐾 ロイヤルカナン 減量したい犬用
獣医師推奨の定番療法食。膵炎経験のある犬や体重コントロールが必要な犬に適しています。
市販されている低脂肪フードが、AAFCOの定める最低基準と比べてどの程度の脂質量を持っているかを確認すると、フード選びの参考になります。
下の表では、成犬用・成長期用の基準と、人気商品に表示されている脂質量を並べています。こうして比較することで、基準値を満たしているか、またどれくらい余裕を持たせているかが一目で分かります。
| 項目 | 粗脂質量 |
|---|---|
| AAFCO成犬用最低基準 | 5.5%以上 |
| AAFCO成長期最低基準 | 8.5%以上 |
| このこの | 8.0%以上 |
| ヒルズ | 9.0%以上 |
| ロイヤルカナン | 9.0%以上 |
表示値は商品パッケージや公式サイトの情報を参照しています。実際の脂質量は製造ロットなどでわずかに変動することがあります。
脂質量が適正でないと、犬の体調や被毛、行動にさまざまな変化があらわれます。過剰と不足それぞれの症状を把握しておくことで、早期のフード調整や受診につなげやすくなります。
脂肪を摂りすぎると、肥満や膵炎、下痢、肝臓への負担など、健康を損なうリスクが高まります。肥満は関節や心臓への負担を増やし、生活の質を低下させる大きな要因となります。
また、膵炎は急性で命に関わることもあるため、急な嘔吐や食欲不振が見られたら早めに受診しましょう。
・慢性肝炎
脂肪過多になると分解しきれずに脂肪肝の状態になり、肝細胞の働きが鈍ります。ごはんの見直しや漢方・サプリメントの活用が効果的です。
・僧帽弁閉鎖不全症
脂肪の摂りすぎは血液をドロドロにし、心臓への負担を高めます。特に僧帽弁閉鎖不全症の犬では、心臓が拡張して弁が閉じにくくなることで血液が逆流しやすくなり、症状が悪化する恐れがあります。体重と脂質バランスの管理が重要です。
脂肪が不足すると、被毛のパサつきや皮膚の乾燥、体重減少、元気の消失など、犬の活力が失われていく兆候が見られます。さらに、エネルギー不足が続くと免疫力が下がり、病気にかかりやすくなる恐れがあります。
長期的な脂肪不足は、成長やホルモンバランスにも悪影響を及ぼすため、早めにフード内容を見直すことが重要です。
心臓病や関節疾患、シニア期など、脂質量に特別な配慮が必要なケースでは、フード選びや与え方に工夫が求められます。愛犬の体調に合った調整を行うことで、健康維持につなげやすくなります。
シニア犬は代謝が落ち、脂質の過剰摂取によって体重が増えやすくなります。さらに心臓病や関節疾患を抱える犬では、余分な体重が大きな負担になります。
そのため、消化しやすく低〜中脂肪のフードを選び、給餌量をこまめに調整することが重要です。膵炎や肝疾患の既往がある犬も、低脂肪フードを継続的に使用することで再発リスクを軽減できます。
脂質管理が必要な場合、急にフードを切り替えると消化不良や食欲低下の原因になります。7〜10日ほどかけて、旧フードに新フードを少しずつ混ぜる方法で移行すると、胃腸への負担を減らせます。
また、1日の給餌量を2〜3回に分ける、食べ残しがないか観察するなど、与え方にも工夫を加えることで、安定した体調管理につながります。
脂質量について、飼い主さんからよく寄せられる疑問をまとめました。フード選びや日々の管理の参考にしてください。
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フードの脂質量は季節で変えるべき?
寒い季節は体温維持のためにエネルギー消費が増える犬もいます。冬場に活動量が高い犬では、少し高めの脂質でもエネルギー補給に役立ちますが、基本的には運動量や体重変化を見て判断すれば十分です。
急な変更より、体調と体重を観察しながら微調整するのが安心です。
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おやつの脂質も総摂取量に含めるべき?
はい。おやつも脂質とカロリーを含むため、総摂取量として考慮する必要があります。おやつを与える量が多い日は、食事フードの給餌量を少し減らすなど、全体のバランスをとることで、肥満や消化不良のリスクを防げます。
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脂質表示に「粗脂肪」と書かれているのはなぜ?
「粗脂肪」は分析上の名称で、実際の脂肪含有量を少し低めに示す傾向があります。これは製品間の比較をしやすくするための共通ルールです。
実際には表示よりやや多めに含まれることが一般的なので、AAFCO基準を満たしているかを併せて確認すると安心です。
犬のドッグフード脂質基準は、AAFCOが成犬5.5%以上、子犬8.5%以上を最低値として示しています。市販フードでは通常10〜15%が多く、低脂肪フードは6〜9%程度が目安です。
脂質はエネルギー源として欠かせませんが、過剰摂取は肥満や膵炎などのリスク、不足は被毛トラブルや免疫低下を招く可能性があります。
小型犬・大型犬・シニア犬などライフステージや体格に合わせ、総カロリーや活動量を考慮してフードを選びましょう。成分表示をよく確認し、必要であれば低脂肪フードや給餌量の調整で対応することが大切です。
体調変化を感じたら早めに獣医師に相談し、無理のない範囲で脂質管理を続けることが、愛犬の健やかな暮らしにつながります。