
ドッグフードのパッケージを見ると、「たんぱく質○%以上」「脂質○%以上」などさまざまな数値が並んでいます。しかし、それぞれが何を表しているのか、どの数字を見ればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
成分表を見るときは、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の5項目に加えて、原材料の並び順や水分量も確認することが大切です。
この記事では、ドッグフードの成分表の基本的な見方から、「以上・以下」の意味、原材料表示の読み方、異なるフードを比較するときに役立つ乾物換算までわかりやすく解説します。パッケージを手元に置きながら、一緒に確認してみてください。
ドッグフードのパッケージには、栄養成分だけでなく原材料や原産国、フードの目的など、選ぶときに役立つ情報が記載されています。
まずは成分表に表示される5つの基本項目と数値の意味を知り、原材料欄とあわせて確認できるようにしておきましょう。
ドッグフードの成分表示では、主にたんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の5項目を確認します。日本のペットフードの公正競争規約でも、この5項目を重量百分率で表示するルールが定められています。
たんぱく質は筋肉や皮膚などをつくる栄養素、脂質はエネルギー源として重要な栄養素です。粗繊維は食物繊維などの一部、灰分は燃焼後に残るミネラル類の目安、水分はフードに含まれる水分量を示します。
同じドッグフードでも商品によって数値は異なるため、1つの項目だけを見るのではなく、愛犬の年齢や体質、運動量なども考えながら全体のバランスを見ることが大切です。
脂質の役割や量について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
➡ ドッグフードの脂質は何%?犬に必要な基準と適正量・選び方
成分表を見ると、たんぱく質や脂質には「○%以上」、粗繊維・灰分・水分には「○%以下」と表示されています。たとえば「たんぱく質24%以上」であれば、24%ぴったりという意味ではなく、少なくとも24%以上含まれることを保証する表示です。
反対に「水分10%以下」であれば、10%を超えないことを示しています。日本の公正競争規約では、たんぱく質と脂質は「以上」、粗繊維・灰分・水分は「以下」と表示することが定められています。
そのため、パッケージに書かれた数値をそのまま「実際に含まれている正確な量」と考えるのではなく、保証されている範囲を示す数値として読むのがポイントです。
原材料欄では、添加物以外の原材料が使用量の多い順に記載され、その後に添加物が表示されるのが基本です。たとえば「鶏肉、玄米、サツマイモ……」と並んでいれば、表示上は鶏肉が最も多く使用されている原材料になります。
ただし、肉や魚が最初に書かれているだけで、そのフード全体の品質を判断することはできません。
原材料には水分量の違いがあり、複数の原材料をまとめた分類名で表示される場合もあるためです。成分値やフードの目的など、ほかの表示もあわせて確認しましょう。
えんどう豆などの豆類が使われているフードもあります。原材料欄にえんどう豆があり、特徴や与える際の注意点が気になる場合はこちらも参考にしてください。
➡ エンドウ豆(ピース)が入ったドッグフードの安全性とは >>
成分表だけでなく、ドッグフードの種類や選び方、与え方など基本から確認したい方はこちらもご覧ください。
➡ ドッグフードの基礎知識|種類・成分表示・与え方・保存方法を解説
ドッグフードの成分表に書かれた数値は、水分を含んだ状態で表示されています。そのため、水分量が大きく異なるフード同士では、表示されているパーセントだけを見ても単純には比較できません。
特にドライフードとウェットフードを比べる場合は、水分を除いた状態にそろえる「乾物換算」を知っておくと、栄養成分の違いを確認しやすくなります。
乾物換算とは、フードに含まれる水分を除き、乾燥した部分だけを100%として栄養成分の割合を計算し直す方法です。
たとえば、ドライフードは水分が10%前後の商品が多い一方、ウェットフードでは70%以上の水分を含む商品もあります。
そのため、成分表に「たんぱく質24%」と書かれたドライフードと「たんぱく質8%」のウェットフードを見て、単純にドライフードの方が3倍多いとは判断できません。
水分量が大きく違うフードの栄養成分を比較したい場合は、同じ水分条件にそろえて比べることが重要です。AAFCOの栄養基準も乾物ベースで示されているため、表示値と基準を比較する場合にも乾物換算が役立ちます。
乾物換算は、次の計算式で求められます。
成分値 ÷(100-水分%)×100
たとえば、たんぱく質24%以上・水分10%以下と表示されたドライフードなら、
24 ÷(100-10)×100=約26.7%
となり、乾物換算したたんぱく質は約26.7%以上です。
一方、たんぱく質8%以上・水分75%以下のウェットフードなら、
8 ÷(100-75)×100=32%
となります。表示上は8%しかないウェットフードでも、水分を除いて比較すると、たんぱく質の割合がドライフードより高くなるケースがあることがわかります。
ただし、成分表の「○%以上」「○%以下」は実際の含有量そのものではなく、メーカーが保証する範囲を示す数値です。
そのため、乾物換算した結果も正確な実測値ではなく、フード同士を比較するときの目安として活用しましょう。 AAFCOも、水分量が異なる食品を比べる際には同じ水分条件へ補正する必要があると説明しています。
成分表の基本がわかったら、実際のパッケージを見ながら確認してみましょう。
最初から「良い・悪い」を判断するのではなく、原材料の並び順→栄養成分→水分量→添加物やその他の表示という順番で見ていくと、情報を整理しやすくなります。以下では、読み方を説明するための例を使って確認していきます。

まずは原材料欄を見て、どのような食材が使われているのか確認します。たとえば、次のような表示があったとします。
原材料:トウモロコシ、チキンミール、牛脂、小麦粉、ビートパルプ、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤など
この例では、トウモロコシが最初に記載され、その後にチキンミールや牛脂などが続いています。原材料は使用量の多いものから確認できますが、並び順だけでフード全体の栄養価や品質まで判断することはできません。
また、「ミール」「肉類」などの表示があった場合も、その名称だけを見て良し悪しを決めるのではなく、メーカーが原料の内容や由来をどこまで公開しているかも確認すると判断材料が増えます。
原材料を確認したら、次にたんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の数値を見ます。たとえば「たんぱく質24%以上、脂質12%以上、粗繊維4%以下、水分10%以下」と表示されていれば、それぞれの保証されている範囲を確認できます。
重要なのは、たんぱく質の数字だけを見てフードを評価しないことです。脂質や水分なども含めて確認し、愛犬の年齢、体格、運動量、現在の食事内容などに合っているかを考える必要があります。
また、ドライフードとウェットフードのように水分量が大きく異なる商品を比較する場合は、前のセクションで紹介した乾物換算を使うと、栄養成分の違いを確認しやすくなります。
原材料と栄養成分を確認したら、保存料・酸化防止剤・着色料などの表示や、原産国、賞味期限、給与方法などもチェックします。
添加物が記載されているからといって、その名称だけで安全・危険を判断することはできません。 ペットフードには品質の維持などを目的として添加物が使われる場合があり、使用目的や基準も含めて考える必要があります。
一方で、どのような添加物が使われているのかを知っておくことは、飼い主さんが納得してフードを選ぶための材料になります。
BHA・BHTなどの酸化防止剤を含め、添加物の安全性について詳しく知りたい方は別記事をご覧ください。
➡ ドッグフードに含まれる発がん性物質について詳しく見る
成分表を見るときは、特定の原材料や添加物だけに注目するのではなく、原材料・栄養成分・商品の目的・メーカーが公開している情報を組み合わせて確認することが大切です。
以前、お腹がデリケートな愛犬のザネに、「お腹にやさしい」というパッケージ表面の言葉を見て選んだフードを与えたことがあります。しかし、数日後に軟便になってしまい、あらためて裏面の原材料や成分表示を詳しく確認しました。
当時はパッケージ表面の印象を優先してしまい、原材料の内容や栄養成分まで十分に確認していなかったことに気づきました。
もちろん、軟便の原因が特定の原材料だったとは断定できません。それでも、この経験をきっかけに、キャッチコピーだけではなく成分表まで確認するようになりました。
同じ「お腹にやさしい」「健康に配慮」などの表現がある商品でも、原材料や成分値はそれぞれ異なります。愛犬に合うフードを探すときは、表面の印象だけで決めず、パッケージ裏の情報まで確認する習慣をつけることが大切だと感じています。
成分表や原材料欄はフード選びの大切な判断材料ですが、一部分だけを見て品質や安全性を決めることはできません。
「肉が最初だから良い」「無添加だから安心」と単純に考えるのではなく、表示が何を意味しているのかを理解したうえで、複数の情報を組み合わせて確認しましょう。
原材料欄では使用量の多いものから表示されるため、肉や魚が最初に書かれている商品は魅力的に見えます。ただし、先頭の原材料だけでフード全体の品質や栄養バランスを判断することはできません。
生肉は水分を多く含むため、加工後には重量の割合が変わります。また、2番目以降に複数の穀物や豆類が並んでいる場合など、先頭の原材料だけでは全体の構成が分からないこともあります。
原材料の順番だけでなく、たんぱく質や脂質などの成分値、商品の目的も一緒に確認しましょう。
パッケージに「グルコサミン配合」「野菜入り」「チキン使用」などと大きく書かれていると、その成分が豊富に含まれているように感じることがあります。
しかし、「○○入り」という表示だけでは、実際にどの程度含まれているのかまでは分からない場合があります。
気になる成分がある場合は、表面のキャッチコピーだけで判断せず、裏面の原材料欄や成分表示も確認してみましょう。特定の成分が入っていること自体よりも、愛犬に必要な栄養を全体として満たせるフードなのかを見ることが大切です。
「国産」「無添加」といった表示はフードを選ぶ際の参考になりますが、その言葉だけで商品の品質や安全性のすべてが決まるわけではありません。
たとえば「国産」は製品の製造に関する表示であり、使用されているすべての原材料が日本産という意味とは限りません。また「無添加」と表示されている場合も、何を使用していないのかまで確認することが大切です。
気になる商品では原材料欄に加え、メーカー公式サイトなどで原料の産地や製造方法、添加物に関する説明も確認すると判断しやすくなります。
成分表を読めるようになると、フードに含まれる栄養素や原材料について多くの情報を確認できます。ただし、成分表だけで「このフードは良い」「このフードは悪い」と決めることはできません。
同じような成分値でも、使用される原材料や製造方法、メーカーの品質管理などは商品によって異なります。価格についても、高いフードだから必ず優れているわけでも、安いフードだから品質が低いわけでもありません。
成分表を基本的な判断材料として使いながら、愛犬の体質や食いつき、メーカーが公開している情報まで含めて選びましょう。
価格と原材料・品質の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
➡ 高いドッグフードはなぜ高い?原材料と安全性の違いを解説
ドッグフードの成分表を見ていると、「この数字はどう読むの?」「表示の意味は?」と迷うことがあります。
最後に、特に混乱しやすいポイントをQ&A形式で整理します。成分表を見る前に知っておくと、パッケージの内容を落ち着いて確認しやすくなります。
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成分表の「以上」「以下」とはどういう意味?
「以上」「以下」は、パッケージに書かれた数値そのものがぴったり入っているという意味ではなく、メーカーが保証している範囲を示しています。たとえば「たんぱく質24%以上」は、24%を下回らないことを表し、「水分10%以下」は10%を超えないことを表します。そのため、成分表の数字は実測値そのものというより、フード選びの目安として読むことが大切です。
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粗たんぱく質の「粗」とはどういう意味?
「粗たんぱく質」の「粗」は、「質が粗い」「品質が低い」という意味ではありません。これは成分を一定の方法で分析したときに求められる分析上の分類名です。脂質や繊維にも「粗脂肪」「粗繊維」といった表記が使われます。見た目の印象でマイナスに受け取る必要はなく、まずはその数値が愛犬の年齢や体質に合っているかを確認することが大切です。
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ドライとウェットの成分値はそのまま比較できる?
ドライフードとウェットフードは水分量が大きく異なるため、表示された数値をそのまま並べて比べるのは適切ではありません。 たとえば、ウェットフードは水分が多いため、たんぱく質の表示値が低く見えても、水分を除いて乾物換算するとドライフードより高くなることがあります。異なるタイプのフードを比較したいときは、水分を差し引いた乾物換算で見ると判断しやすくなります。
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AAFCO基準はパッケージのどこで確認する?
AAFCO基準を確認したい場合は、パッケージの説明欄やメーカー公式サイトで、総合栄養食であることや栄養基準への適合状況がどう書かれているかを見てみましょう。
ただし、日本で販売されているフードは、すべてが同じ形でAAFCOへの準拠を表示しているわけではありません。そのため、AAFCOという言葉の有無だけで判断せず、総合栄養食の表示やメーカーの説明もあわせて確認することが大切です。
ドッグフードを選ぶときは、パッケージ表面のキャッチコピーだけでなく、裏面の成分表や原材料表示まで確認することが大切です。まずはたんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の5項目を確認し、「以上」「以下」が示す意味も理解しておきましょう。
原材料は表示されている順番を確認しつつ、肉や魚が先頭にあることだけで品質を判断しないこともポイントです。また、ドライフードとウェットフードなど水分量が大きく異なる商品を比べる場合は、乾物換算を使うと栄養成分を比較しやすくなります。
成分表だけですべての品質や愛犬との相性がわかるわけではありませんが、表示の読み方を知っていれば、商品の特徴を理解したうえでフードを選びやすくなります。
原材料や添加物、メーカーの情報などもあわせて確認しながら、愛犬に合ったフード選びに役立てていきましょう。

こんにちは、愛犬ごはんノート編集部 minamiです。現在は柴犬のムギ(9歳)とザネ(7歳)と暮らしています。
ムギは子犬の頃から皮膚が弱く敏感肌で、ザネは内臓が少し繊細。日々の食事が体調に大きく影響するので、これまで20種類以上のドッグフードを試してきました。
成分や原材料について調べるのが趣味のようになり、自分なりに学んだことや、実際に愛犬に与えてきたフードの体験談をこのサイトでご紹介しています。
愛犬の健康に不安がある方や、どのフードを選べばいいか悩んでいる方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。
運営者名:愛犬ごはんノート編集部 minami
愛犬の食事管理歴15年以上、20種以上のフード比較経験。
参照・取材方針:公的機関・学術資料を一次情報として優先し、体験談とは区別して解説します。
本記事は一般的情報であり、診断・治療の代替ではありません。医療判断は獣医師へ。