愛犬が突然お漏らししたり、赤っぽい尿をしていたら「もしかして膀胱炎?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。膀胱炎は、犬にとって比較的よく見られる泌尿器のトラブルで、頻尿や血尿、排尿時の痛みなどさまざまな症状を引き起こします。
早期に気づいて適切な対処をすれば重症化を防げますが、放置すると腎臓にまで影響が及ぶことも。この記事では、膀胱炎の主な症状や原因、治療法、再発予防や食事管理のポイントまで、わかりやすくご紹介します。
膀胱炎は、排尿に関わるトラブルとして比較的よく見られる病気です。はじめは小さな異変に見える症状でも、見逃すと重症化することがあります。初期のサインに気づきやすくするためにも、代表的な症状を整理しておきましょう。
膀胱炎になると、短時間に何度も排尿する「頻尿」や、血が混じった赤い尿が出る「血尿」、そしてトイレ以外の場所でのお漏らしといった異常が現れます。こうした変化は、膀胱内で炎症や細菌感染が起こっているサインです。
パグのように排尿を我慢しがちな犬種では症状の進行に気づきにくいため、日頃から排尿の様子を観察することが大切です。
排尿時にキャンと鳴く、トイレ後に陰部をしきりに舐めるといった行動も、膀胱炎の症状としてよく見られます。これは、排尿時の痛みや不快感、あるいは膀胱周辺に違和感があることを示しています。
違和感が続くとストレスにもなり、体調の悪化を招くことがあります。こうした状態をやわらげるために、泌尿器の健康をサポートするサプリメントが活用されることもあります。
膀胱炎は細菌感染が主な原因とされていますが、その他にもさまざまな要因が重なって発症することがあります。また、適切な処置をせずに放置すると、膀胱だけでなく腎臓などにも影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。
膀胱炎の多くは、尿道から侵入した細菌が膀胱内で繁殖し、炎症を起こすことで発症します。特にメス犬は尿道が短いため感染しやすい傾向にあります。
また、免疫力が落ちていたり、強いストレスを感じている場合も膀胱の防御機能が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。体調が不安定な時期や環境の変化などにも注意が必要です。
膀胱炎を治療せずに放っておくと、炎症が長引き慢性化するだけでなく、膀胱から尿管、腎臓へと細菌が広がり、腎盂腎炎などの重篤な病気に発展するおそれがあります。
さらに、炎症によって尿の性質が変わると尿石が形成されやすくなり、結石による痛みや排尿困難を引き起こす場合もあります。早期発見と治療が非常に重要です。
犬の膀胱炎はどの犬種にも起こりうるものですが、体質や体のつくりによってリスクが高い犬種もいます。あらかじめ傾向を知っておくことで、日常のケアや食事管理に役立てることができます。
ダルメシアンやダックスフンド、ヨークシャーテリア、パグ、コーギー、ミニチュアシュナウザーなどは膀胱炎や尿路結石にかかりやすい犬種として知られています。
これは尿の排出経路が詰まりやすい構造や代謝の特性などが関係しています。また、一般的に4歳を過ぎた頃から泌尿器系のトラブルが増えやすいため、中高齢期にはより注意が必要です。
排尿を我慢する癖がある犬や、水をあまり飲まない体質の犬は膀胱炎のリスクが高まります。長時間トイレを我慢することで膀胱内に細菌が繁殖しやすくなり、炎症を引き起こす原因になります。
また、肥満や免疫力の低下、膀胱や尿道に奇形がある場合もリスク因子になります。生活習慣や体質に応じた予防とケアを心がけることが大切です。
膀胱炎は自然に治ることが少なく、放置すると重症化するリスクもあるため、適切な治療が欠かせません。動物病院での処置に加え、自宅でもできるケアを取り入れることで、回復を早めたり再発を防ぐ効果が期待できます。
膀胱炎が疑われる場合、動物病院ではまず尿検査が行われ、必要に応じてエコーやレントゲンなどの画像検査が追加されます。治療では、細菌感染に対する抗生物質や、痛みを和らげる消炎鎮痛剤が処方されるのが一般的です。
さらに、症状によっては利尿剤や尿のpHを調整する薬、慢性化を防ぐための補助療法が併用されることもあります。
治療と並行して、家庭でできるケアとしてはまず十分な水分補給が重要です。水飲み場を複数設置したり、ウェットフードを取り入れることで自然に水分量を増やす工夫をしましょう。
また、トイレを我慢させないよう散歩の回数を増やすことも効果的です。清潔な生活環境の維持や、ストレスの少ない日常を心がけることも、再発や悪化の予防につながります。
膀胱炎は一度治っても再び発症することが少なくありません。特に原因が十分に取り除かれていない場合や、体質的に泌尿器のトラブルを起こしやすい犬では再発率が高くなります。日常生活の中でできる予防対策を見直しておきましょう。
再発予防には、トイレを我慢させないことと、十分な水分摂取を促すことが大切です。トイレの場所や回数を見直し、寒い季節には室内でも快適に排尿できる環境を整えておくと良いでしょう。
また、水を飲みたがらない場合は、食事やおやつのタイミングを活用して水を摂る機会を増やすのも効果的です。生活のリズムが乱れているとストレスの原因にもなるため、毎日の過ごし方にも気を配ることが大切です。
膀胱炎の再発を早期に察知するには、日頃から排尿の様子を観察し、気になる点があれば早めに動物病院で相談することが大切です。
再発を繰り返す犬では、定期的な尿検査や超音波検査を行うことで、小さな異常を早期に発見できる可能性が高まります。
血尿や頻尿といったサインは再発の兆候であることも多いため、症状が落ち着いたあとも油断せず、健康状態を継続的にチェックしましょう。
膀胱炎の予防や再発防止には、日々の食事管理も重要なポイントです。与える内容によっては炎症を悪化させたり、尿の性質を変えてしまうこともあります。症状の悪化を防ぎながら健康的な尿環境を保つために、食事の工夫を取り入れていきましょう。
膀胱炎の犬に与えてはいけないものとして、塩分や脂肪分が多い加工食品、香辛料や保存料を含む人間用の食べ物が挙げられます。これらは尿を濃くしたり膀胱に刺激を与え、炎症を悪化させる可能性があります。
また、甘いお菓子は細菌の繁殖を促進することもあるため、体にやさしいおやつを選ぶことが大切です。市販のドッグフードも成分をよく確認して選ぶようにしましょう。
膀胱炎対策には、水分をしっかりとらせることが基本です。飲水量が少ない犬には、ウェットフードやスープを活用して自然に水分を摂らせる工夫をしましょう。
また、泌尿器の健康をサポートする成分(ビタミンCやE、クランベリーエキスなど)を含んだフードは、細菌の付着を防いだり膀胱内の環境を整えるのに役立ちます。
ただし、成分の過不足が心配なときは、獣医師のアドバイスを受けて選ぶことが望ましいです。
膀胱炎に関しては、症状や治療、性別による違いなど、飼い主さんからよく寄せられる疑問がいくつかあります。ここではその中から代表的な質問を3つ取り上げて、わかりやすくお答えします。
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犬の膀胱炎はオスとメスで違いがありますか?
はい、一般的にはメス犬のほうが尿道が短く、外から細菌が入りやすいため膀胱炎になりやすい傾向があります。ただし、オス犬でも加齢に伴う前立腺の腫れや排尿障害によって膀胱炎を起こすことがあるため、どちらの性別でも注意は必要です。
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膀胱炎になると夜間にトイレの回数が増えるのはなぜ?
膀胱に炎症が起きると、尿が少ししか溜まっていなくても排尿したいと感じるようになります。そのため、夜中でも何度もトイレに行きたがったり、落ち着かなくなったりする行動が見られることがあります。頻尿が続く場合は早めの受診が望ましいです。
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膀胱炎になった犬は痛みを感じていますか?
膀胱炎にかかった犬は、多くの場合排尿時にチクチクとした痛みや違和感を感じています。
症状が強い場合は、排尿の途中で鳴いたり、排尿後に陰部を過剰に舐めるような行動が見られることもあります。見た目に出ない場合もあるため、慎重な観察が大切です。
犬の膀胱炎は、頻尿やお漏らし、血尿など日常のちょっとした変化から始まることが多く、見過ごしてしまうと悪化や再発を招く恐れがあります。特に泌尿器に負担がかかりやすい体質の犬や、年齢を重ねた犬では注意が必要です。
早期に気づいて動物病院で適切な治療を受けることで、多くの場合はスムーズな回復が期待できます。
また、日頃から清潔な環境を整え、ストレスや排尿の我慢を減らす工夫、食事内容の見直しを通じて、予防に努めることが大切です。小さなサインを見逃さず、愛犬の健康を守っていきましょう。