犬の股関節形成不全とは、何らかの原因により股関節に異常が生じている状態を指します。この異常はX線で詳細に確認することができ、進行度は7つの段階に分類されます。

 

先天性の場合でも、出生時に発見することは難しく、生後6ヶ月頃から症状が現れることが多いです。この病気は両側の股関節に発症することが一般的ですが、稀に片側のみに症状が現れることもあります。

 


股関節形成不全の症状・歩き方に変化

股関節形成不全の主な症状には、後ろ足がうさぎ跳びのような動きになったり、ふらついたりすること。これは股関節に炎症が生じ、その痛みや違和感をかばうために変わった歩き方をするようになるためです。

 

また、ジャンプを嫌がり、段差を避けることもあります。普段から運動量が少ない犬の場合、散歩自体を嫌がることもあります。

 

他の病気でも散歩を嫌がることがありますが、股関節形成不全の場合は後ろ足に特徴的な症状が現れるため、それをチェックしてあげてください。

 

症状が軽い段階では全く症状が現れないこともあります。

 

ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、セント・バーナード、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマン、ボクサー、ロットワイラー、アフガン・ハウンド、グレート・ピレニーズ、秋田犬などの大型犬。

股関節形成不全の原因の原因

股関節形成不全は、小型犬や中型犬に比べて大型犬に圧倒的に多く見られます。これは、大型犬が成長時に急速に体重が増加するため、股関節への負担が大きくなるためです。

 

小型犬でも稀に股関節形成不全になることがありますが、体重が軽いため、軽度な症状で済むことがほとんどです。

 

また、股関節形成不全は遺伝による影響も大きく、原因の約7割が遺伝によるものとされています。さらに、肥満も大きな影響を与えます。特に成長期には体重が急増するため、カロリーコントロールをしっかりと行うことが重要です。

股関節形成不全の治療とその費用

犬の股関節形成不全の治療は、症状に応じて休息、食事療法、投薬、手術の3つの方法が取られます。

 

初期段階では症状が軽く、犬が痛みを感じないことが多いため、特別な治療は必要ありません。この場合、体重を減らすための食事療法と運動の縮小が主な治療法となります。

 

これには獣医の指示が必要ですが、飼い主の努力で改善が可能です。食生活の見直しと生活環境の改善を行ってください。

 

投薬は、股関節に炎症が生じて痛みがある場合に行われ、主に痛み止めが使用されます。これに加えて、前述の食事療法と運動のコントロールも同時に行います。

 

しかし、痛み止めは一時的な対策であり、症状が悪化した場合には外科治療が必要となります。

 

初診時の費用は、初診料、レントゲン、注射、薬などを含めて12,000~20,000円ほどかかります

 

外科治療には、骨盤の3ヶ所の骨を切断する三点骨折術や、太ももの骨を切除して人工関節に置換する方法などがあり、犬の年齢や状態によって適した方法が選ばれます。

 

手術費用は病院によって異なりますが、入院費や薬を含めて約230,000~300,000円ほど必要です。人工関節の手術費用は、片脚だけで50万円以上かかる場合もあります。

股関節形成不全の療養食・おすすめドッグフード

股関節形成不全が発症すると、まず体重のコントロールが必要になります。つまり、減量を行うことが求められます。激しい運動ができないため、重要なのはドッグフードの選択です。カロリーの低いものを与えるようにしましょう。

 

予防として、関節に良いとされるグルコサミンやコンドロイチンを摂取することが推奨されます。これらは老犬向けのイメージがあるかもしれませんが、大型犬は股関節形成不全を起こしやすいため、予防のためにも積極的に与えておくと安心です。