
愛犬の去勢・避妊手術のあと、「なんだか性格が変わった?」「前よりおとなしくなった気がする…」と不安になる飼い主さんは多いです。性格の変化には、一時的なものとゆるやかに落ち着いていく変化があり、手術の影響だけとは限りません。
この記事では、手術後によく見られる様子の変化と落ち着いてくるまでのおおよその時期、そしてシンプルな接し方のポイントを整理しながら、心配なサインの目安もお伝えします
手術後の変化は「性格が急に変わった」のではなく、痛みや疲労、ホルモンの再調整、生活リズムの乱れが重なって起こる一時的な揺らぎが大半です。個体差を前提に、何が起きやすいかを整理しておくと、落ち着いて見守れます。
去勢後は性ホルモンの分泌が低下し、発情関連の行動が弱まる一方で、回復期の違和感や環境変化への敏感さが一時的に高まることがあります。
普段より落ち着きがなく見えるのは、痛みや疲労、睡眠の質低下が混ざりやすいためです。まずは生活リズムを整え、無理のない散歩や休息時間を確保することで、徐々に安定しやすくなります。
避妊後もホルモンの揺らぎがしばらく続き、甘えが強くなったり、音や来客に敏感になることがあります。痛みや不安から抱っこを求めやすくなるなど、行動の変化は自然な反応です。
十分な睡眠と静かな環境、短時間の気分転換を積み重ねることで、数週間から数か月のうちに安定していくケースが多く見られます。
「おとなしくなった」と感じる背景には、性ホルモン低下による興奮しにくさのほか、家庭の習慣を見直した影響もあります。叱って止めるより、望ましい行動を先に用意して褒める設計に切り替えると、落ち着きが定着しやすくなります。
家族内で合図やルールを揃え、同じ順序で関わることが安定への近道です。

手術後の性格や行動の変化には、傷の痛みや疲れなどによる一時的なものと、ホルモンバランスの変化にともなって少しずつ落ち着いていく変化が重なっています。
「いつまで続くんだろう」と先が見えないと不安になりやすいですが、よく見られる流れを知っておくと気持ちがラクになります。目安として、術後の時期ごとに起こりやすい様子と接し方のポイントを整理してお伝えします。
術後0〜3日ごろは、麻酔や痛みの影響もあって、いつもより元気がなかったり、ぼんやりしているように見えることが多い時期です。ほとんど動きたがらず、飼い主さんのそばでじっとしている子もいれば、逆に不安から甘えが強くなる子もいます。
この段階では無理に遊ばせたり散歩に連れ出すよりも、獣医師の指示どおりの薬やフードを与え、静かで落ち着ける環境を用意してあげることが大切です。
「いつもと違う」と感じても、まずは身体を回復させる時間だと考えて、そっと見守るイメージで接してあげましょう。
・指示された量と回数でフードを与える
・無理に遊ばせず、段差や滑りやすい場所を避ける
・スキンシップは犬の様子を見ながら、負担にならない範囲で
・水もフードもまったく口にしない状態が続く
・痛みで鳴き続ける、呼吸が明らかに苦しそう
・傷口の腫れや出血が強くなる
術後1〜2週間ほど経つと、体力が戻ってきて「だいぶいつもの様子に近づいてきたな」と感じられることが多くなります。
一方で、まだ完全に本調子ではないため、急にテンションが上がったり不安そうになったりと、行動がやや不安定に見えることもあります。
お散歩や遊びは少しずつ再開しつつ、傷口に負担をかけないように距離や時間を調整しながら様子を見ると安心です。
この時期は、無理をさせず穏やかに過ごせるペースを一緒に探していくイメージで、「今日はここまでにしておこうね」と早めに切り上げるくらいがちょうど良いことも多いです。
・散歩は短めからスタートし、徐々に距離を伸ばす
・激しいジャンプ遊びなどはまだ控える
・スキンシップや声かけを増やし、不安を和らげる
・傷口が赤く腫れている、膿が出ている
・舐め壊しがひどくエリザベスカラーでも抑えられない
・いつもと違う攻撃性や強い怯えが続く
術後1〜3か月ほど経つと、多くの子で行動や性格が落ち着き、「前より穏やかになった気がする」と感じられることが増えてきます。
マーキングやマウンティングの回数が減る子もいれば、甘えん坊のままだけれど、興奮し過ぎる場面が少なくなる子もいます。
一方で、この時期はホルモンバランスの変化から体重が増えやすくなるため、フードの量やおやつの回数を見直すことがとても大切です。
体重や体型をこまめにチェックしながら、去勢・避妊後向けフードやカロリー控えめのレシピを上手に取り入れていくことで、穏やかさと健康の両方を守りやすくなります。
・体重とボディコンディションスコア(BCS)を定期的に確認
・去勢・避妊後用フードや、シニア向けフードの検討
・毎日の散歩に軽い運動要素をプラスする
・短期間で急に太った、息切れしやすくなった
・極端に動きたがらず、元気がない状態が続く
・食欲や排せつのリズムが大きく乱れている
術後3か月以降になると、「手術前とまったく別の性格になる」というよりも、以前と比べて落ち着きやすくなったり、衝動的な行動が少し減ったりといった、ゆるやかな変化として感じられることが多くなります。
その一方で、もともとの性格や気質はしっかり残るため、「まったく変わらない」と感じる飼い主さんもいます。大切なのは、手術だけを原因に決めつけず、年齢や環境の変化も含めて、愛犬のペースに合わせてあげることです。
普段からよく様子を観察し、小さな変化にも気づけるようにしておくと、早めの受診やフードの見直しにもつながり、結果的に安心して暮らしやすくなります。
・年齢に合わせてフードの内容や量を少しずつ見直す
・無理のない運動と、メリハリのある生活リズムを続ける
・ストレスサイン(舐め壊し・吠え・隠れるなど)に気を配る
・急に攻撃的になる、触られるのを極端に嫌がる
・今までと明らかに違う不安行動が増えている
・食欲や元気の低下が続き、日常生活に支障が出ている
手術のあと、落ち着きが出たり、少しそわそわしたり。行動の変化に戸惑う飼い主さんも多いでしょう。焦らずに、できることから整えていくことが安心につながります。
遊びや来客など、興奮するタイミングではマウンティングが出やすくなります。無理に止めようとせず、別の部屋で休ませたり、落ち着ける指示を伝えたりして気持ちを切り替えましょう。
座る・伏せるなどできた行動を褒めて、落ち着ける流れを少しずつ覚えてもらうことが大切です。焦らず同じ形を繰り返すうちに、自然と頻度が減っていきます。
散歩前に一度トイレを済ませておくと、外でのマーキングが減りやすくなります。においチェックを早めに切り上げたいときは、短く声をかけて数歩進め、できたら褒めて終わりましょう。
室内ではトイレの位置や素材を変えてみるのも一つの方法です。失敗しても叱らず、静かに片づけることで「落ち着ける場所=安心して排泄できる場所」と学びやすくなります。
環境の変化や不安、痛みがあると、夜に落ち着けないことがあります。寝る前は軽い遊びや短い散歩で気分を整え、寝床は静かで温度が安定した場所にしましょう。夜中に起きても大きな声をかけず、落ち着ける合図を一定にします。
数日以上続く、息づかいが荒い、昼間も元気がないなどの様子があれば、動画や記録を持って受診を検討してください。
「夜間の吠え対策の基本」も参考になります。
手術を終えたあとは、ホルモンの変化や環境の違いから、少し気持ちが不安定になることもあります。落ち着いて過ごせるように、日常の中でできるサポートを意識してみましょう。
避妊後は、いつもより飼い主に寄り添いたがる行動が見られることがあります。無理に離すのではなく、落ち着いて甘えられる時間を一日の中に作ってあげましょう。
そのうえで、静かに過ごす時間やおもちゃ遊びも取り入れ、気持ちの切り替えをサポートします。「この時間は一緒」「この時間は休憩」と区切ることで、安心しながら自立も促せます。
ホルモンの変化で代謝が落ち、少し太りやすくなることがあります。フードの量を10%ほど減らして様子を見たり、おやつを減らすのも効果的です。
散歩を1回増やす、階段を避けて坂道を選ぶなど、軽い運動も良い刺激になります。急な体重増加や元気のなさを感じた場合は、早めにかかりつけ医に相談しておくと安心です。
避妊手術後は、感情の波が出やすい時期でもあります。叱るより、静かな環境で過ごす時間を増やすほうが落ち着きやすいです。お気に入りの場所を確保してあげたり、安心できる香りや音楽を取り入れるのもおすすめ。
できるだけ「いつも通り」のリズムを守ることが、心の安定につながります。
手術を終えると、体のバランスが少しずつ変わっていきます。以前より太りやすく感じることがあっても、焦らなくて大丈夫です。ごはんの量やペースを整えることで、ゆっくり安定していきます。
今の体型を基準に、少しずつ給餌量を見直していきましょう。いきなり減らすより、1〜2割ほど控えめにするのが続けやすいです。おやつを減らす分、ごはんでバランスを取るのもおすすめ。
1週間ごとの体重変化を目安にしながら、無理なく整えていくことが長続きのコツです。
同じ量でも、フードの種類や食べ方で満足度は変わります。たんぱく質をしっかり取りつつ脂肪を控えめにし、噛みごたえのある粒や食物繊維が多いものを選ぶと落ち着きやすいです。
早食いする子は、ゆっくり食べられる器や回数を分ける工夫も◎。新しいフードに切り替えるときは、数日かけてゆっくり慣らしてあげましょう。
詳しくは「避妊・去勢後の体重管理フード」も参考になります。
体重は「急に変える」より「少しずつ整える」ほうが体に優しいです。毎週同じ時間に測って、少し増えた週だけ控えめにする程度でOK。
散歩を短くして回数を増やす、静かな遊びを取り入れるなど、日常のリズムで自然に調整できます。無理なく続けられるペースを見つけて、愛犬と一緒に安定した状態を目指しましょう。
手術後の変化は気になるものです。落ち着き方や行動の違いには個体差がありますが、よくある質問をまとめました。
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去勢・避妊後に元気がなくなるのはなぜ?
手術の疲れやホルモン変化、環境の変化などが重なり、一時的に静かになる犬もいます。
多くは数日〜数週間で元の調子を取り戻しますが、食欲や反応が長く落ち着かないときは、痛みや不調が隠れている場合もあるため、早めの受診をおすすめします。
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手術後に性格がきつくなったように感じます
ホルモンの変化に慣れず、不安や混乱が行動に出ている可能性があります。叱るよりも、静かに過ごせる時間や落ち着ける環境を増やすことが大切です。安心が戻ると、徐々に穏やかな状態へ落ち着いていくケースが多いです。
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手術をしたら性格は必ず変わりますか?
性格の変化には個体差があります。まったく変わらない犬もいれば、落ち着きが増す犬もいます。行動の違いはホルモンよりも、家庭での接し方や環境の影響が大きいことも多いです。
手術後は、安心して過ごせる生活リズムを保つことが一番のサポートになります。
避妊・去勢手術のあと、犬の性格や行動が少し変わるのは自然なことです。ホルモンの変化に加え、生活リズムや飼い主との関わり方が整っていくことで、落ち着きが出てくる犬も多くいます。
焦らず、愛犬のペースを大切にしながら、休息・食事・運動のバランスを整えていくことが何より大切です。もし不安が続く場合は、早めに獣医師へ相談し、小さな変化を見逃さないようにしましょう。
穏やかさは、飼い主の安心感から少しずつ広がっていきます。

こんにちは、愛犬ごはんノート編集部 minamiです。現在は柴犬のムギ(9歳)とザネ(7歳)と暮らしています。
ムギは子犬の頃から皮膚が弱くアレルギー性皮膚炎があり、ザネは内臓が少し繊細。日々の食事が体調に大きく影響するので、これまで20種類以上のドッグフードを試してきました。
成分や原材料について調べるのが趣味のようになり、自分なりに学んだことや、実際に愛犬に与えてきたフードの体験談をこのサイトでご紹介しています。
愛犬の健康に不安がある方や、どのフードを選べばいいか悩んでいる方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。
運営者名:愛犬ごはんノート編集部 minami
愛犬の食事管理歴15年以上、20種以上のフード比較経験。
参照・取材方針:公的機関・学術資料を一次情報として優先し、体験談とは区別して解説します。
本記事は一般的情報であり、診断・治療の代替ではありません。医療判断は獣医師へ。