「去勢・避妊手術をしたあと、なんだかうちの子の様子が前と違う…」そんな風に感じたことはありませんか?ホルモンの変化は、体調だけでなく行動や気持ちにも影響を与えることがあります。
特に雄犬(オス犬)では、性格が大人しくなる・マウンティングが減るといった変化がよく知られていますが、すべての犬に当てはまるわけではありません。雌犬(メス犬)でも甘えん坊になったり、眠ってばかりになるなどの変化が見られることがあります。
性格が変わったように見えたり、元気がない・腰を振る・散歩に行きたがらないなど、手術後の愛犬に見られる変化に戸惑う飼い主さんは少なくありません。
この記事では、去勢・避妊後に見られる主な行動の変化と、愛犬に寄り添った接し方のヒントをご紹介します。
手術後には、ホルモンバランスの変化により、愛犬の行動や感情がいつもと違って見えることがあります。ではまず、飼い主がよく気づく具体的な変化を解説します。
手術後しばらくはホルモンの分泌が大きく変わるため、愛犬が「元気がない」と感じる場面が増えることがあります。これは一時的なもので、多くは数日~数週間で落ち着いていきます。
特に避妊手術後のメス犬では、術後の疲れや出血の影響もあるため、いつもより長く寝たり、活動量が減ったりすることがよくあります。
ホルモンの影響で感情の安定性が変わることで、急に飼い主にべったりになったり、留守番時に不安を感じやすくなったりすることも。これは一種の分離不安の兆候です。
いつも以上に甘えてきたり、飼い主が外出しようとすると鳴くようになった、という変化が見られることもあります。
去勢・避妊後は一般的に落ち着く傾向がありますが、まれに狂暴に見えるような行動が出る場合もあります。これはホルモンバランスの乱れやストレスによる一時的な反応で、飼い主の接し方次第で落ち着いていくことがほとんどです。
特にオス犬では、去勢後に一時的に興奮しやすくなることもあるため注意が必要です。
去勢・避妊をしても、すぐに性行動が完全になくなるとは限りません。特に腰を振る(マウンティング)行動は、癖になっていたり、ストレス発散の手段として残る場合もあります。
避妊後のメス犬でもヒートの名残で一時的に腰を振るような仕草を見せることがありますが、これも時間とともに減っていきます。
手術後に見られる性格や行動の変化には、ホルモンや脳の働き、さらにはストレスや栄養状態などが複雑に関係しています。ここでは、そうした変化の背景にある理由と、それに対する対処法をわかりやすくご紹介します。
去勢・避妊手術によって性ホルモンの分泌が大きく変化すると、自律神経や気分の安定に影響が出ることがあります。たとえば、元気がなくなったり、逆に興奮しやすくなったりするのは、体の中のバランスが一時的に崩れるためです。
特にオス犬では、攻撃性や性行動の減少が見られる反面、依存的な行動が強まることもあります。
ホルモンの変化は脳内の神経伝達物質にも影響を与え、不安や緊張が強まることがあります。手術後に甘えん坊になったり、分離不安のような行動が見られるのは、安心を求める気持ちの表れともいえるでしょう。
飼い主とのスキンシップや安定した生活環境が、不安定な心を落ち着かせる鍵となります。
心と体の両面を落ち着かせるためには、生活環境に加えて食事の見直しも効果的です。
例えば、気持ちの安定を支えるトリプトファンや、体調維持に役立つオメガ3脂肪酸などが含まれたフードを選ぶことで、ストレスに強い体をサポートできます。
避妊・去勢後の行動の変化に戸惑う飼い主さんも多いですが、愛犬の気持ちに寄り添いながらサポートすることで、不安定な時期をスムーズに乗り越えることができます。どんなサポートが愛犬に安心感を与えるのか、具体的な方法をご紹介します。
手術後はホルモンの変化により、不安を感じやすくなる犬が多くなります。そんな時期こそ、優しく話しかけたり、穏やかに撫でてあげたりといったスキンシップがとても大切です。
「元気がない」「甘えん坊になった」と感じる場合は、精神的な安定を求めているサインかもしれません。普段よりも多く一緒に過ごす時間を作り、落ち着ける空間で安心感を与えてあげましょう。
散歩を面倒がったり、以前より運動量が落ちたりする犬もいますが、運動不足はストレスや体重増加につながるため注意が必要です。無理のない範囲でおもちゃ遊びや軽めの散歩を取り入れ、体を動かす機会を確保してあげましょう。
特にオス犬は、マウンティングなどの性行動が残っている場合、遊びや運動によって自然に気がそれて収まっていくケースも多いです。
避妊・去勢後は体調が安定するまでに少し時間がかかるため、落ち着いて眠れる環境作りも重要です。
明るすぎない静かな場所にベッドを置く、温度管理を適切にするなど、小さな配慮が愛犬の安心感につながります。また、術後しばらくは出血や痛みで眠りが浅くなることもあるため、そっと見守る気持ちで過ごしましょう。
去勢手術は性行動の抑制だけでなく、前立腺の病気を予防する目的でも行われることがあります。
➡ 「犬の前立腺肥大とは?症状・原因・治療法」でわかりやすく解説で、病気の詳細や対策について知っておきましょう。
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去勢・避妊をすると性格が変わるって本当ですか?
本当です。ただし“完全に別の犬のようになる”わけではなく、ホルモンバランスの変化により、穏やかになったり甘えん坊になったりする傾向が見られることがあります。
逆に、落ち着きがなくなるなど一時的な反応が出る場合もありますが、環境に慣れれば徐々に落ち着くケースが多いです。
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去勢したのに腰を振る行動が治りません。大丈夫ですか?
去勢・避妊後もしばらくはマウンティング(腰を振る)行動が残ることはあります。これは性衝動だけでなく、癖・ストレス・優位性の誇示などが関係しているためです。
気になる場合は運動や遊びで気をそらしたり、落ち着ける環境を整えることが効果的です。
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避妊手術後に食欲が急に増えました。フードを変えるべきですか?
はい、術後のホルモン変化で食欲が増す犬は多く、体重増加のリスクが高まります。高タンパク・低脂肪設計のフードや、満腹感を得やすい食材を取り入れたごはんに切り替えることで、無理なく体重管理ができるようになります。
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雄犬は去勢手術後、性格が大人しくなりますか?
去勢後にホルモン分泌が減ることで、攻撃性や興奮しやすさが落ち着く犬もいます。ただしすべての雄犬に当てはまるわけではなく、もともとの性格や生活環境によって変化の度合いは異なります。
避妊・去勢手術のあとは、ホルモンバランスの変化により、性格や行動が一時的に変わることがあります。元気がない、甘えん坊になる、散歩を嫌がる、腰を振るなどのサインは、愛犬なりの戸惑いやストレスの表れかもしれません。
こうした変化に気づいたら、不安になるのではなく、「よくがんばってるね」と寄り添ってあげることが大切です。スキンシップや生活環境の見直し、適度な運動、そして食事の工夫が、心と体の回復を後押ししてくれます。
手術はゴールではなく、愛犬との新しい毎日が始まるきっかけ。変化に耳を傾けながら、これからも安心できる暮らしを一緒に築いていきましょう。