犬の尿路結石の症状、原因、ドッグフード

膀胱、腎臓、尿道などおしっこの通り道にできる結石を尿路結石と言います。これは、人間の場合は主に30〜50歳代の男性に見られる疾患ですが、犬や猫などの動物も発症しやすい傾向があります。

 

結石が形成されると、膀胱や尿道を傷つける可能性があるため、迅速な対処が必要です。また、これまで与えていたフードも尿路結石用のものに切り替える必要があります。

 


尿路結石の症状

結石ができるとおしっこのさいに分かりやすい症状が出るようになります。該当するものがあれば尿路結石症の疑いがあります。

 

オシッコの回数は増えるのに出にくい

尿路結石症の症状として一番多くあらわれるものです。結石が膀胱を刺激し尿意は催しますが、尿道が詰まっているため量が少なくなります。

 

トイレに時間がかかる

結石により膀胱が傷ついている場合、トイレの際に痛みが生じることがあります。痛みに耐えるため背中を丸めるような姿勢をとるなど時間をかけてトイレをするようになります。

 

尿に血が混じることがある

結石のせいで膀胱炎を起こしている場合、その症状として血尿になることがあります。

 

食欲不振、嘔吐

結石によりおしっこがたまり毒素症を起こしている場合、元気がなくなり嘔吐することがあります。また、食欲がなくなることも。

 

不機嫌や興奮

尿路結石による痛みや不快感によって、犬が不機嫌になったり興奮したりすることがあります。

尿路結石の原因とかかりやすい犬種

結石は体内の老廃物が有機物やミネラルと結合して形成され、徐々に大きくなります。結石の発生メカニズムは完全には解明されていませんが、体内の老廃物の蓄積を防ぐことが最も重要です。

 

また、遺伝的要因により特定の犬種では結石が発生しやすい傾向があります。

 

ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ペキニーズ、パグ、ダックスフンド、ブルドッグ、シーズー、マルチーズ、ポメラニアンなど。ただし、結石の種類はバラバラです。

 

尿路結石に罹患する可能性が高いのは、尿道と肛門が近接しているメス犬ですが、オス犬では尿道が長く結石が詰まりやすい傾向があります。そのため、オスとメスの発症率はほぼ同等です。

 

一般的に、結石が発症しやすい年齢は4歳以降ですが、種類によっては幼犬でも発症しやすいことがあります。

結石の種類

結石には多様な種類があり、それぞれ異なる治療法があります。飼い主がそれを判断するのは難しいですが、以下ではその違いを簡単に紹介します。

 

シュウ酸カルシウム結石

 

ここ数年でいちばん多いとされる種類です。(以前はストラバイト結石が75%を占めていたことも)感染症以外の理由で尿pHが酸性化し結石を作りだします。

 

主な成分は、シュウ酸とカルシウム。シニア犬に多いとされています。

 

ストラバイト結石

 

ストラバイト結石は、発症率が高く、シュウ酸カルシウム結石と合わせて90%を占めます。これは主に膀胱炎による細菌感染が原因で起こります。

 

尿のpHがアルカリ性になると結石が形成されやすくなり、特にメス犬によく見られます。結石治療において、食事療法が最も効果的だとされています

 

その他の結石

 

シュウ酸カルシウム結石、ストラバイト結石の他にも、残り10%の割合でできる結石の種類があります。シスチン結石、尿酸アンモニウム結石、ケイ酸結石(シリカ結石)、リン酸カルシウム結石など。

 

シスチン結石は、ダックスフンド、ブルドッグ、ヨーキー、チャウチャウなどのオス、尿路アンモニウム結石はあらゆる犬種のオスによくみられます

結石症の治療と療養食(ドッグフード)

結石の種類や大きさによって治療法が異なりますが、基本的には内科療法で結石を溶解させていきます。溶解が難しい結石や大きな結石は手術によって摘出されます。結石に感染が疑われる場合には、抗生物質が使用されます。

 

ストルバイト結石については、おしっこのpHを調整するだけでうまく溶けてしまう場合があります。

 

結石症は、一度発症すると再発しやすいため、時間をかけて食事療法を行うことが効果的です。具体的には、タンパク質、リン、マグネシウムを制限し、ナトリウムを増やした食事が推奨されます

 

ドッグフードでは、「pHコントロール」と表示されているものが適しています。

 

ただし、結石症の治療食はリンやマグネシウムが極端に少なく、塩分が高い場合もあります。そのため、骨折や心臓負担のリスクがあることに注意が必要です。

 

ドッグフードを選ぶ際には、栄養バランスがしっかりと取れたものを選ぶようにしましょう。