犬の尿路結石(尿石症)は、排尿トラブルや血尿などの症状が見られ、再発もしやすい病気です。放置すると命に関わることもあるため、早期の発見と適切なケアが大切になります。
本記事では、尿路結石の症状や原因、治療法に加え、療法食や予防に役立つドッグフード選びのポイントをわかりやすく解説します。
尿路結石は、膀胱や尿道などおしっこの通り道に石のような結晶ができる病気です。犬にとっては痛みや排尿トラブルを引き起こし、放置すると命に関わることもあるため、早めの理解と対策が重要です。
尿の中に含まれる老廃物やミネラルが結合し、結晶として少しずつ固まっていくことで結石は形成されます。通常は尿と一緒に排出されますが、濃度が高い状態が続くと溶けきれずに結晶が成長し、やがて結石となります。
体質や食事内容も大きく影響するため、日常管理が予防の鍵になります。
結石が大きくなると尿道を塞いで排尿困難を招き、膀胱炎や腎臓への負担、最悪の場合は尿毒症に進行する危険があります。尿が出にくい状態が続けば短期間で重篤化するため、見逃さないことが大切です。
特にオス犬は尿道が細いため詰まりやすく、急変のリスクが高いとされています。
尿路結石は初期段階から排尿の異常が現れることが多く、飼い主が気づけるサインも少なくありません。症状を早めに把握することで、重症化を防ぎやすくなります。
結石が膀胱や尿道にできると、排尿がスムーズに行えなくなり、頻繁にトイレに行くのに尿が少量しか出ないことがあります。
膀胱や尿道を刺激して炎症が起こると血尿が見られることもあり、排尿の際に痛みを伴うケースも少なくありません。こうした異変は早期発見の大切なサインになります。
尿の流れが妨げられて体内に老廃物が蓄積すると、食欲が落ちたり、嘔吐や元気消失といった全身の不調が出ることがあります。特に排尿トラブルに加えて食欲不振が見られる場合は、体内で毒素が広がっている可能性があるため要注意です。
こうした全身症状は進行の目安にもなるため、早めに受診を検討すべき状態です。
尿路結石は体質や生活習慣、食事内容など複数の要因が重なって発症します。どの犬でも起こり得る病気ですが、遺伝や体の特徴により発症リスクが高い犬種も存在します。
特定の犬種には結石ができやすい体質が受け継がれている場合があり、尿路の構造や代謝の特徴から結石が形成されやすくなることがあります。
遺伝的素因は飼い主が変えられない部分ですが、日常的なケアを徹底することでリスクを下げることが可能です。
飲水量の不足やミネラルバランスの偏った食事は、尿の濃度を高めて結石を作りやすくします。さらに運動不足や肥満による代謝の低下も発症に関与します。
水分をしっかり摂ること、栄養バランスの整ったフードを与えること、適度な運動を取り入れることが予防の基本です。
ミニチュアシュナウザーやシーズー、マルチーズ、パグなどは特に尿路結石のリスクが高いとされます。
とくにミニチュアシュナウザーは代謝や体質の関係で尿路トラブルを起こしやすく、日常的な管理が欠かせません。
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ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ペキニーズ、パグ、ダックスフンド、ブルドッグ、シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、ダルメシアンなど。ただし、結石の種類はバラバラです。
犬の尿路結石にはいくつかの種類があり、それぞれ発症原因や治療方法が異なります。種類によって食事療法の方向性も変わるため、飼い主が正しく理解しておくことが大切です。
現在もっとも多いとされる結石で、以前はストラバイト結石が主流でしたが近年は増加傾向にあります。尿が酸性寄りになりやすい体質や高カルシウム状態などが関与すると考えられ、特に中高齢の犬に多く見られます。
溶解が難しいため、予防と管理が重要なタイプです。
細菌感染による膀胱炎などが引き金となりやすい結石で、尿がアルカリ性に傾くと形成されやすくなります。比較的若齢でも見られ、特にメス犬に多いのが特徴です。
内科的治療や食事療法によって溶解が可能なケースが多く、早期発見できれば再発予防も含めて管理がしやすいタイプとされています。
全体の割合は少ないものの、シスチン結石や尿酸アンモニウム結石、ケイ酸結石などが存在します。シスチン結石は遺伝的要因が関係し、特定の犬種やオス犬に多く見られます。
尿酸アンモニウム結石はダルメシアンなどに特徴的です。いずれも治療や予防に専門的な管理が必要で、定期的な検査が欠かせません。
治療は結石の種類や大きさ、犬の体調によって方法が変わります。薬や食事療法で改善する場合もあれば、外科的処置が必要となる場合もあります。早期診断と適切な治療選択が大切です。
ストラバイト結石などは食事療法や薬を使うことで溶解が期待できるため、まずは内科的治療が行われることが多いです。pHをコントロールするフードや抗生物質を併用し、再発を防ぎながら少しずつ改善を目指します。
ただし、すべての結石が溶けるわけではなく、定期的な経過観察が欠かせません。
大きな結石や溶解が難しい種類の結石は、外科的に摘出しなければならないことがあります。手術は全身麻酔が必要で犬の体に負担がかかりますが、放置すると尿道閉塞や腎臓へのダメージにつながるため、適切なタイミングでの判断が重要です。
術後は再発予防のための食事管理や生活習慣の見直しが不可欠となります。
治療を始める前には、尿検査・血液検査・エコー検査などで結石の種類や位置を特定します。検査結果によって「食事療法で様子を見るか」「手術を検討するか」が変わるため、正確な診断が欠かせません。
また、治療中も定期的に検査を行うことで、結石の変化や再発の有無を確認します。早めに病院で相談することが安心につながります。
尿路結石の再発を防ぐためには、フード選びよりも「どの栄養素を意識するか」が重要です。結石の種類や体質に合わせた栄養管理を行うことで、長期的な健康維持につながります。
これらの栄養素は過剰に摂取すると結石の材料になりやすいため、療法食では制限されている場合が多いです。タンパク質は必要以上に与えると老廃物が増え、リンやマグネシウムは尿中で結晶化する要因となります。
極端に制限するのではなく、適切な量を保つことが大切です。
ナトリウムは摂取すると飲水量が増える効果があり、尿を薄めて結石を作りにくくする一面があります。しかし、心臓や腎臓への負担が懸念されるため、長期的にはデメリットになることもあります。
医師の指導のもとで適量を守り、体全体の健康を考えたバランスを取ることが求められます。
水分をしっかり摂取できることは尿路結石の最大の予防策です。ウェットタイプのフードや水分量を意識したメニューは尿の濃度を下げ、結石形成を抑える効果があります。
特に肥満や飲水不足で結石を起こしやすい犬種のひとつがパグです。👉 パグにおすすめのドッグフードと体質ケア でも紹介しているように、日々の水分摂取を工夫することが健康維持の大切なポイントになります。
尿路結石は一度治療しても再発しやすい病気です。日常生活の工夫によってリスクを減らすことができるため、飼い主が意識して予防策を取り入れることが大切です。
十分な水分を摂ることで尿を薄め、結石が形成されにくい環境を作ることができます。常に清潔な水を用意するのはもちろん、ウェットフードやふやかしたフードを利用するのも有効です。
水飲み場を複数設置する、器を変えるなど小さな工夫が習慣づけにつながります。
肥満は尿路結石のリスクを高める要因のひとつです。余分な脂肪は代謝を妨げ、飲水量や活動量の低下にもつながります。
適正体重を保つためには、バランスの取れた食事と毎日の軽い運動が不可欠です。散歩や遊びを通じて体を動かすことは、尿路だけでなく全身の健康維持にも役立ちます。
ストレスや生活環境の乱れも結石の再発リスクを高めることがあります。排尿を我慢させないよう散歩やトイレの回数を確保し、安心して休める環境を整えることが大切です。
室内の温度や湿度を適切に保ち、水分を摂りやすい状況を作ることも予防につながります。日々の環境管理が再発防止の基盤です。
尿路結石は再発しやすい病気であるため、飼い主の方から寄せられる疑問も多くあります。ここでは特に多い質問をまとめました。
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尿路結石は季節によって発症しやすさが変わりますか?
夏場は飲水量が減りやすく、尿が濃くなることで結石ができやすくなる傾向があります。反対に冬は活動量が落ちるため、代謝の低下や排尿回数の減少がリスクにつながります。季節ごとに水分補給や散歩の工夫をしてあげることが大切です。
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手作り食は尿路結石に良いですか?
手作り食は水分を多く含めることができるメリットがありますが、栄養バランスが崩れやすく、結石の原因となる成分を過剰に含んでしまうリスクもあります。獣医師や栄養管理士の指導のもとでレシピを作成し、成分バランスを管理することが大切です。
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一度治っても再発することはありますか?
尿路結石は非常に再発率が高い病気です。完治したように見えても数か月後に再発するケースは珍しくありません。
治療後も定期的に尿検査やエコー検査を受け、日常生活での飲水量・体重管理を続けることが大切です。早めに異変を察知できれば再発しても軽度のうちに対応できます。
尿路結石は一度発症すると再発しやすく、日常の管理が予防の大きな鍵となります。
症状や原因を正しく理解しておけば、早期発見につながり重症化を防ぐことができます。特に飲水量や体重の管理は、結石だけでなく全身の健康維持にも効果的です。
また、体質的に結石を起こしやすい犬種もいるため、自分の愛犬の特徴を知り、必要に応じて定期的に検査を受けることも安心につながります。毎日の小さな工夫と観察が、愛犬を長く健やかに守る一歩となります。