
「愛犬の毛が抜けて、なかなか生えてこない…」
ポメラニアンやトイプードルなどのふわふわな犬種と暮らす飼い主さんにとって、アロペシアX(脱毛症X)という診断はとてもショックなものだと思います。
「治らないのかな?」「寒くないかな?」と心配になりますよね。でも、アロペシアXは命に関わる病気ではありません。そして、病院での治療だけでなく、「おうちでのケア」と「毎日の食事」を見直すことで、愛犬が快適に過ごせるようにサポートすることは十分に可能です。
この記事では、アロペシアXと上手に向き合うための自宅ケアのポイントと、皮膚と被毛の健康を支えるおすすめのドッグフードをご紹介します。
まずは、アロペシアXがどのようなものか、医学的な難しい話は抜きにして、飼い主さんが知っておくべきポイントだけを整理しましょう。
アロペシアXの最大の特徴は、「毛は抜けるけれど、犬自身は元気」という点です。通常、かゆみや痛みはなく、内臓が悪くなることもほとんどありません。
見た目の変化に飼い主さんは心を痛めることが多いですが、犬自身は自分が脱毛していることに気づいていない場合も多いのです。
「見た目だけの問題(コスメティックな疾患)」とも呼ばれるほどで、過度に悲観する必要はありません。愛犬の元気な姿を今まで通り愛してあげることが一番のケアになります。
「なぜ毛が抜けるのか?」という原因は、現在の獣医学でも完全には解明されていません。ホルモンバランスの乱れや、毛の生え変わりサイクル(毛周期)の停止などが関係していると考えられていますが、決定的な治療法がないのが現状です。
だからこそ、強い薬を使って無理に生やそうとするよりも、「今ある皮膚を健康に保つこと」や「毛が生えやすい土台(体質)を作ること」に目を向け、気長に向き合っていく姿勢が大切になります。

毛が生えてこない時こそ、体の中からの栄養補給が重要です。毎日のごはんで「毛の材料」と「皮膚を守る成分」をしっかり届けてあげましょう。
犬の被毛の90%以上は「ケラチン」というタンパク質でできています。つまり、タンパク質が不足すると、新しい毛を作る材料が足りなくなってしまいます。
フードを選ぶ際は、原材料の最初に「肉」や「魚」が記載されているものを選びましょう。植物性タンパク質(小麦グルテンなど)よりも、動物性タンパク質の方が犬の体での利用効率が高く、良質な毛を作るのに適しています。
成分表のタンパク質値が高いフード(25%以上目安)がおすすめです。
毛根に栄養を届けるためには、皮膚の血流が良いことが欠かせません。そこで意識したいのが、魚油(サーモンオイルなど)や亜麻仁油に含まれる「オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)」です。
オメガ3脂肪酸には、血液をサラサラにして巡りを良くするだけでなく、皮膚の炎症を抑えたり、乾燥を防いで潤いを与えたりする働きがあります。カサカサした皮膚をケアし、毛が生えやすい柔らかな土壌を作るのに役立ちます。
どれだけ良いフードをあげても、それを吸収する「腸」が弱っていては意味がありません。特にアロペシアXになりやすい犬種は繊細な子が多く、消化吸収力が低下していることがあります。
乳酸菌やオリゴ糖、消化に良い食材(サツマイモなど)が配合されたフードを選び、腸内環境を整えてあげましょう。腸が元気になると免疫バランスも整い、皮膚のバリア機能向上にもつながります。
皮膚と被毛の健康維持に定評があり、アロペシアXに悩む飼い主さんからも選ばれているフードを厳選しました。市販で買いやすいものも紹介します。

「モグワン」は、良質なチキンと生サーモンをふんだんに使用したグレインフリー(穀物不使用)フードです。最大の魅力は、魚由来のオメガ3脂肪酸がたっぷりと含まれている点です。
サーモンに含まれるアスタキサンチンなどの抗酸化成分も、皮膚の健康維持をサポートします。「毛並みケアといえばモグワン」と言われるほど実績があり、食いつきも良いため、好き嫌いが多い子にも試しやすいフードです。

アロペシアXの発症が多いトイプードルやポメラニアンなどの小型犬専用に作られた国産フードです。高タンパクな鶏ササミと鹿肉を使用し、低脂肪で消化に優しい設計になっています。
タンパク質の分解を助ける青パパイヤや、ポリフェノールを含むモリンガなど、自然由来の健康成分を配合。毛並みだけでなく、小型犬の悩みである「涙やけ」や「体臭」のケアも同時にできるため、総合的な美容・健康管理におすすめです。

ホームセンターやドラッグストアでも購入しやすい「ヒルズ サイエンス・ダイエット(敏感なお腹と皮膚の健康サポート)」は、科学的根拠に基づいた栄養バランスが魅力です。
皮膚と被毛の健康に欠かせないビタミンEとオメガ6脂肪酸を高配合しており、内側から艶やかな毛並みをサポートします。消化に良い原材料を使用しているため、お腹が弱い子にも安心。手に入りやすく続けやすい価格帯なのも嬉しいポイントです。
毛が薄くなっている皮膚は、外部からの刺激にとても弱くなっています。日頃のケアで「守る」ことを意識してあげましょう。
毛がない・薄い部分は、ゴシゴシ洗う必要はありません。洗浄力が強いシャンプーは避け、低刺激なアミノ酸系や保湿成分入りのものを選び、泡で包み込むように優しく洗いましょう。
そして何より大切なのが、洗った後の保湿です。犬用の化粧水や保湿スプレーを使い、露出している皮膚の水分を守ってあげてください。乾燥は皮膚の黒ずみ(色素沈着)の原因にもなるため、毎日の保湿ケアがとても効果的です。
「毛がないのにブラッシング?」と思うかもしれませんが、柔らかい獣毛ブラシ(豚毛など)を使って優しく肌を撫でてあげることは、皮膚のマッサージになります。皮膚の血行が良くなれば、毛根に栄養が届きやすくなります。
ただし、金属製のスリッカーブラシなどで皮膚を傷つけないよう、道具選びと力加減には十分注意してください。愛犬が気持ちいいと感じる強さで行うのがポイントです。

毛が薄くなると、紫外線や寒さの影響をダイレクトに受けてしまいます。洋服などを上手に活用して、愛犬を守ってあげましょう。
アロペシアXの子にとって、洋服はファッションではなく「皮膚を守る防具」です。散歩中の直射日光(紫外線)や、草木による擦り傷、冬の寒さから皮膚を保護するために、洋服を着せてあげましょう。
ただし、化学繊維や縫い目が硬い服は皮膚への刺激になることがあります。コットン(綿)100%など、肌触りが良く通気性のある天然素材の服を選んであげると安心です。
毛が薄いと体温調節が苦手になります。夏場は直射日光が当たらない早朝や夕方以降に散歩し、冬場は日中の暖かい時間帯を選ぶなど、愛犬が快適に歩ける時間を探してあげましょう。
また、首輪の摩擦で首周りの毛が抜けてしまうこともあるため、首への負担が少ないハーネス(胴輪)に切り替えるのもおすすめです。皮膚への刺激を少しでも減らす工夫をしてあげてください。
アロペシアXと診断された飼い主さんが抱きがちな疑問について、前向きな視点でお答えします。
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サプリメントは飲ませたほうがいいですか?
必須ではありませんが、皮膚の栄養補給として取り入れるのは良い選択です。育毛効果を保証するものではありませんが、亜鉛、ビタミン類、プラセンタなどが配合された皮膚用サプリは、体調を整える助けになります。獣医師と相談しながら、無理のない範囲で試してみましょう。
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避妊・去勢手術で毛が生えるって本当?
性ホルモンのバランスが原因の場合、避妊・去勢手術をすることでホルモン状態が変わり、毛が生えてくるケースは実際にあります。ただし、必ず生えるとは限らず、全身麻酔のリスクもあります。手術をするかどうかは、年齢や体力を踏まえて獣医師とじっくり相談して決めてください。
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他の犬にうつることはありますか?
いいえ、アロペシアXは感染症ではないため、他の犬や人間にうつることは絶対にありません。多頭飼いの場合でも隔離する必要はなく、今まで通り一緒に遊ばせてあげて大丈夫です。スキンシップもたくさんとってあげてください。
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トリミングでバリカンを使わないほうがいい?
はい、アロペシアXの疑いがある場合、バリカンによる機械的な刺激が毛根にダメージを与え、発毛を妨げることがあります(ポメハゲと呼ばれることもあります)。トリミングサロンには事情を伝え、バリカンを使わずハサミ仕上げ(シザーカット)をお願いするのが安心です。
アロペシアXは、飼い主さんにとって心配の尽きない症状ですが、愛犬自身は痛みもなく、元気いっぱいであることがほとんどです。
「早く毛を生やしてあげたい」と焦るあまり、高額な治療やケアで飼い主さんが疲れてしまっては元も子もありません。まずは、良質な食事と優しいスキンケアで、「健康な皮膚」を維持することから始めてみませんか?
ふさふさの時も、少し毛が薄くなった時も、愛犬の可愛さは変わりません。その時々の姿を愛おしみながら、リラックスしてケアを続けていきましょう。きっと、愛犬もそんな飼い主さんの笑顔を見て安心してくれるはずです。

こんにちは、愛犬ごはんノート編集部 minamiです。現在は柴犬のムギ(9歳)とザネ(7歳)と暮らしています。
ムギは子犬の頃から皮膚が弱くアレルギー性皮膚炎があり、ザネは内臓が少し繊細。日々の食事が体調に大きく影響するので、これまで20種類以上のドッグフードを試してきました。
成分や原材料について調べるのが趣味のようになり、自分なりに学んだことや、実際に愛犬に与えてきたフードの体験談をこのサイトでご紹介しています。
愛犬の健康に不安がある方や、どのフードを選べばいいか悩んでいる方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。
運営者名:愛犬ごはんノート編集部 minami
愛犬の食事管理歴15年以上、20種以上のフード比較経験。
参照・取材方針:公的機関・学術資料を一次情報として優先し、体験談とは区別して解説します。
本記事は一般的情報であり、診断・治療の代替ではありません。医療判断は獣医師へ。