犬の熱中症に注意!症状・対策・冷やし方と回復方法を徹底解説

愛犬ごはんノート編集部
愛犬ごはんノート編集部

麦わら帽子をかぶった柴犬。犬の熱中症対策を呼びかける夏の注意喚起バナー

夏の暑さは犬にとっても大敵です。特に熱中症は、気づくのが遅れると命に関わる深刻な状態に陥ることも。

 

今回は、犬の熱中症について、症状の見分け方や対処法、効果的な冷やし方や便利なグッズ、そして回復を助ける食事まで、飼い主さんが知っておきたい情報をわかりやすくまとめました。

 

犬の熱中症の主な症状とは?

 

夏場の犬の健康管理で最も気をつけたいのが熱中症です。見た目ではわかりにくいこともありますが、早い段階で異変に気づければ、重症化を防ぐことができます。症状をよく理解しておくことが愛犬の命を守る第一歩です。

 

初期症状はパンティングや食欲低下から

 

犬の熱中症は、激しいパンティング(浅く早い呼吸)やよだれ、落ち着きのなさといった初期サインから始まります。体温が上昇しているため、口を開けて必死に体温調整をしようとしている状態です。

 

また、食欲がなくなったり、水をあまり飲まなくなるのも熱中症の兆候とされており、元気がない様子が見られたら注意が必要です。

 

重症化すると立てない・嘔吐・血便も

 

症状が進行すると、ふらついて歩けなくなったり、嘔吐や下痢、血便といった深刻な異常が現れることがあります。

 

さらに重篤な状態では、意識がもうろうとして反応がなくなり、完全に立てない、痙攣を起こす、意識を失うなどの命に関わる症状に至るケースもあります。早めの発見と対応がとても重要です。


犬の体温は何度から危険?

犬の熱中症を防ぐには、「体温」「気温」「室温」の3つに注目することが大切です。犬は人よりも暑さに弱いため、わずかな温度変化でも体調を崩すことがあります。目安となる温度や異変に気づくポイントを押さえておきましょう。

 

犬の平熱と異常の目安

 

犬の平熱はおよそ38.5~39.2℃と、人間よりやや高めです。40℃を超えると明らかな異常とされ、42℃以上になると臓器へのダメージや意識障害が起こる可能性もあります

 

平時の体温を把握しておくことで、少しの変化にも早く気づけるようになります。測定は肛門に体温計を差し込む直腸温が正確です。

 

何度の気温・室温で危険になる?

 

犬にとって快適な室温は22~25℃前後、湿度は50~60%が理想とされます。気温が25℃を超えると、散歩や車内では熱中症リスクが急激に高まります。

 

とくに湿度が高いと体温がうまく放出できず、体内に熱がこもりやすくなります。夏場はエアコンや除湿機を活用し、室温と湿度の両方をコントロールすることが重要です。

熱中症になったらどうすればいい?

もし愛犬に熱中症の疑いがあると感じたら、一刻も早く体温を下げる処置を行いましょう。時間が経つほど回復が難しくなるため、落ち着いて迅速に対応することが大切です。応急処置の正しい方法と、その後の対応を把握しておきましょう。

 

冷やす場所と手順のポイント

 

まずは涼しい日陰や冷房の効いた室内へ移動し、体を冷やすことが最優先です。特に首元・脇・内ももなど大きな血管が通る場所に保冷剤や濡れタオルを当てると効果的です

 

水をかける場合は常温の水を使い、扇風機などで風を当てて蒸発を促すと体温が下がりやすくなります。冷やしすぎにも注意し、犬の様子をこまめに確認しましょう。

 

落ち着いたら病院で診察を

 

応急処置で少し落ち着いたように見えても、体内にダメージが残っている可能性があります。嘔吐や下痢、ふらつきが見られる場合は特に注意が必要です。

 

たとえ軽度の症状であっても、できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。数時間後に急変するケースもあるため、自己判断せず専門家のアドバイスを仰ぐことが安心です。

軽度の熱中症の治し方

熱中症の症状が軽く、呼吸や意識に大きな異常が見られない場合は、自宅でのケアで回復できることもあります。ただし、油断せず慎重に様子を見ることが大切です。無理をさせず、体にやさしい方法で少しずつ回復を促しましょう。

 

無理に食べさせず水分補給を

 

食欲がないときに無理に食事をさせるのは逆効果になることがあります。まずは常温の水をこまめに与え、脱水症状を防ぐことを優先しましょう。

 

飲まない場合はスポイトやスプーンで少量ずつ与えるのも有効です。ゼリータイプの水分補給アイテムや、犬用の経口補水液を活用するのもおすすめです。

 

様子見と環境調整で回復を促す

 

安静にできる環境を整えることが大切です。室温を適切に保ち、通気性の良い場所でしっかりと休ませましょう。体温が下がり、呼吸や表情が落ち着いてきたら、回復の兆しといえます。

 

ただし、食欲が戻らない、元気が出ないといった様子が長引く場合は、軽度であっても早めに動物病院を受診することをおすすめします。

熱中症対策におすすめのグッズ

熱中症は、事前の対策で多くのリスクを防ぐことができます。近年は犬用の暑さ対策グッズも多く登場しており、上手に取り入れることで愛犬の快適な夏をサポートできます。日常的に使いやすく、効果の高いアイテムを選ぶことがポイントです。

 

冷却マットや保冷ベストの活用

 

ひんやりした素材のマットやジェルタイプのクールベッドは、室内でも手軽に使える便利アイテムです。寝そべるだけで体温を下げられるので、暑がりな犬にも最適です。

 

また、散歩時には保冷剤を入れて使う「クールベスト」や「保冷スカーフ」などもおすすめ。首回りや背中を効率よく冷やすことで、熱中症予防につながります。

 

室内でも使える暑さ対策グッズ

 

室内飼いの犬でも油断は禁物です。扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたり、遮熱カーテンやクールパッドで部屋全体の温度を下げる工夫も大切です。

 

また、冷感素材の服や、ひんやり触感のクッションなども快適に過ごすためのサポートになります。エアコンだけに頼らず、複数のグッズを併用するのが効果的です。

水分補給におすすめの飲み物は?

熱中症対策や回復期において、水分補給は非常に重要です。特に暑い日は、脱水を防ぐためにもこまめに飲ませる習慣をつけましょう。ただし、与える飲み物の種類には注意が必要です。犬にとって安全で効果的な選択肢を知っておきましょう。

 

基本は常温の水でOK

 

犬にとって最も安全で安心なのは、きれいな常温の水です。冷たすぎる水はお腹を壊す原因になるため、冷蔵庫から出したばかりの水ではなく、常温で用意してあげましょう

 

また、複数の場所に水皿を置くことで、いつでも水分補給できる環境を整えることが大切です。外出時は携帯用ボトルやシリコン製の水皿があると便利です。

 

電解質入りの補助飲料も選択肢に

 

市販の犬用経口補水液や電解質飲料は、脱水状態の補助として有効です。ナトリウムやカリウムを含むこれらの飲料は、水分とともに電解質も補給できるため、熱中症の予防や軽度の症状の回復に役立ちます。

 

ただし、人間用のスポーツドリンクや砂糖入り飲料はNGです。必ず犬専用の製品を選びましょう

熱中症の回復を助ける食べ物とは?

熱中症から回復するには、体力を少しずつ取り戻すための栄養補給が必要です。ただし、無理に食べさせようとするとかえって負担になることもあるため、体調や様子を見ながら慎重に対応しましょう。消化にやさしく、水分も摂れるような食べ物が理想です。

 

消化しやすく水分を含んだ食事を

 

熱中症後は胃腸も弱っていることが多く、普段のドライフードでは負担が大きい場合があります。

 

やわらかくしたウェットフードやおかゆ状の手作り食、犬用スープなど、消化しやすく水分も一緒に摂れる食事がおすすめです。冷たすぎるものや脂っこいものは避け、常温でやさしい味のものを与えましょう。

 

無理せず少量から再開を

 

最初は食欲が戻らないことも珍しくありません。そんなときは無理をさせず、少量からゆっくり始めましょう。食べる量が少なくても、水分と栄養がバランスよく取れるよう配慮することが大切です。

 

また、回復を早めるためにビタミンやミネラルが含まれた補助食品を取り入れるのも有効です。不安な場合は獣医師に相談しながら進めましょう。

熱中症予防に役立つ食べ物は?

日々の食生活に気を配ることで、熱中症に強い体づくりができます。特別な食材を用意しなくても、ふだんのごはんにひと工夫加えるだけで、水分やミネラルの補給をサポートすることが可能です。無理なく続けられる方法を取り入れていきましょう。

 

水分の多い野菜をうまく取り入れる

 

きゅうりやレタス、白菜、トマトなどは水分を多く含み、熱中症予防にぴったりの野菜です。茹でて細かく刻んだものをドッグフードにトッピングするだけでも、水分とともに食物繊維やビタミンの補給が期待できます。

 

ただし、生野菜を与える際は農薬や雑菌に注意し、しっかり洗ってから与えましょう。

 

ビタミン・ミネラルで体調維持

 

暑さに負けない体を保つには、ミネラルやビタミンを含んだバランスのよい食事が大切です。

 

例えば、にんじんやかぼちゃには抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCが含まれ、体の抵抗力を高めてくれます。これらの野菜は茹でて柔らかくしたものを少量加えるだけで、栄養価がぐっとアップします。

熱中症による後遺症に注意

熱中症は一時的に回復しても、体の中に見えないダメージが残っていることがあります。症状が落ち着いたからといって油断せず、数日間は慎重に様子を見ることが大切です。後遺症への理解を深め、適切にケアを続けていきましょう。

 

腎臓や脳のダメージが残ることも

 

体温が異常に高くなると、腎臓・肝臓・脳などの重要な臓器に負担がかかり、機能障害を起こすことがあります。とくに脱水状態が続いた場合、腎不全のリスクが高まるため要注意です。

 

また、重度の場合は脳にダメージが残り、ふらつきや意識障害、けいれんといった後遺症が出ることもあります

 

数日間は安静にして経過観察を

 

症状が落ち着いた後も、すぐに普段通りの生活に戻さず、数日間は安静を保つようにしましょう。

 

食欲・排せつ・歩き方・呼吸の状態に変化がないかを注意深く観察し、少しでも異変があれば再度動物病院を受診することが大切です。再発や別の病気を防ぐためにも、回復後のケアこそ丁寧に行いましょう。

犬の熱中症に関するよくある質問

熱中症については、実際に対処するときや予防を考えるうえで、多くの飼い主さんが不安や疑問を抱えています。ここでは特に多く寄せられる質問にお答えします。

 


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熱中症の回復にはどれくらいかかる?

軽度の場合は1~2日で元気を取り戻すこともありますが、脱水や臓器への負担が大きかった場合は回復に1週間以上かかることもあります。食欲や元気が戻るまでの経過をしっかり観察し、無理をさせずに過ごさせることが大切です。

 


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下痢や嘔吐が出たときの対処法は?

下痢や嘔吐は体内の水分と電解質を一気に失う危険な状態です。すぐに冷却処置を行い、できるだけ早く動物病院を受診してください。応急処置としては常温の水や犬用経口補水液を少しずつ与えることが有効です。

 


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熱中症で立てないときはどうする?

ぐったりして立てない状態は緊急です。涼しい場所に移し、首元・脇の下・足の付け根を中心に冷やしながら、できるだけ早く動物病院へ運びましょう。意識や呼吸に異常がある場合は命にかかわるため、一刻も早い対応が必要です。

 

熱中症を防ぐ知識と備えで夏を安全に

 

犬の熱中症は、気温や湿度が少し上がっただけでも起こりうる命にかかわるトラブルです。

 

初期症状に早く気づいて対応すること、普段から暑さに備えた生活環境や食事を整えることが何より大切です。冷却グッズの活用や水分補給の工夫をしながら、無理のない生活リズムで過ごしましょう。

 

もし体調に異変が見られたら、自己判断せずすぐに動物病院へ。正しい知識と備えで、愛犬と一緒に安心して夏を乗り切っていきましょう。