一般的に、穀物(炭水化物)を使用したドッグフードは、犬にとって消化しにくいとされ、問題視されています。少量であればそれほど気にする必要はありませんが、摂りすぎると肥満やアレルギーの原因となる可能性があります。
しかし、穀物には犬の満腹感を高める効果もあるため、必ずしもデメリットばかりではないことも覚えておいてください。
ドッグフードに使われる穀物には、トウモロコシや麦などが多いですが、こちらでは、穀物の中でも比較的犬の健康に良いとされるものをご紹介していきたいと思います。
白米は玄米を精米して作られます。精米により栄養分は減少しますが、白米は消化が良く、胃腸の状態を安定させる効果があります。さらに、多くの犬が白米のモチモチ感を好み、嗜好性も高いとされています。
炊いた白米をそのままドッグフードにトッピングできるので、手間もかかりません。ただし、白米はGI値が高いため、太りやすい犬にはおすすめできません。
メリット | デメリット |
・消化が良い |
・栄養価が玄米より少ない |
玄米は精白される前のお米で、穀物の中でも食物繊維が豊富で太りにくい性質を持ちます。そのため、「お米を玄米に変えると痩せる」として若い女性を中心にダイエット食として人気があります。
玄米に含まれるビタミンB1やB2は脂肪や糖質の代謝を高める効果があり、低GI値であることもメリットの一つです。低GI値の食品は血糖値の上昇を抑え、脂肪がつきにくい体作りに役立ちます。
しかし、玄米は消化が悪いため、そのまま食べるのには向いておらず、一度に多く与えるのには適していません。
メリット | デメリット |
・高い食物繊維含有量 |
・消化が悪く、大量に与えるのは不向き |
五穀米は、米、麦、豆、あわ、ひえ(きび)の5種類の穀物のことを指します。古くから健康の源として食されてきたこれらの穀物は、玄米同様にダイエット効果が期待できる素材です。
五穀米にはビタミン類がバランスよく含まれ、食物繊維も豊富です。また、あわやひえにはポリフェノールが含まれており、活性酸素を排除する働きがあります。アレルギー性が低いため、他の穀物よりも与えやすいという利点もあります。
ただし、五穀米はよく噛まないと満腹感を得にくいため、ごはんを丸呑みしてしまう犬には向いていないかもしれません。
メリット | デメリット |
・ビタミン類が豊富 |
・よく噛まないと満腹感を得にくい |
五穀米は、5種の穀物に限定されたものですが、雑穀米は、5種の他白米や玄米、ハトムギなどメーカーによって様々な種類のものがプラスされています。メリットやデメリットは含まれている穀物によって変わってきます。
ドッグフードに含まれる主な炭水化物の原材料、トウモロコシ、米、オート麦、小麦、大麦、玄米の栄養素について比較しました。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
---|---|---|---|---|
トウモロコシ | 363kcal | 4.0g | 3.6g | 72.4g |
米粉 | 356kcal | 6.1g | 0.9g | 77.1g |
オート麦 | 380kcal | 13.7g | 5.7g | 69.1g |
小麦 | 337kcal | 10.6g | 3.1g | 72.2g |
大麦 | 340kcal | 6.2g | 1.3g | 77.8g |
玄米 | 347kcal | 5.9g | 2.1g | 74.8g |
お米 | 353kcal | 5.2g | 0.6g | 77.9g |
タンパク質比でいうとオート麦が一番高いのでおすすめですが、同時に脂質も高くなっているので太り気味のワンちゃんには、低カロリーな小麦がおすすめです。
カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | |
---|---|---|---|---|
トウモロコシ | 5mg | 99mg | 130mg | 1.5mg |
米粉 | 5mg | 23mg | 94mg | 0.8mg |
オート麦 | 47mg | 100mg | 370mg | 0.8mg |
小麦 | 26mg | 80mg | 350mg | 3.2mg |
大麦 | 17mg | 25mg | 110mg | 1.0g |
玄米 | 14.7mg | 102.9mg | 273mg | 1.3mg |
お米 | 6.3mg | 14.7mg | 71.4mg | 0.2mg |
炭水化物(穀物)それぞれのミネラルについて比較してみました。総合的にみると、オート麦が一番多くミネラルを含んでいることがわかります。オート麦は炭水化物の中でも比較的アレルギーを起こしにくいとも言われています。
カルシウム | マグネシウム |
約250mg×体重 | 約10mg×体重 |
リン | 鉄分 |
約200mg×体重 | 約1.32mg×体重 |
※体重はkg単位
成長期の場合は上記の約2倍の摂取量が必要になります。また、ミネラルの過剰摂取は内臓に負担をかけることがあるので与えすぎにも注意してください。
ドッグフードには穀物の他にも食物繊維と呼ばれる炭水化物が含まれています。食物繊維は水に溶けるものと溶けないものの2種類があり、それぞれ犬にとって大切な役割があるのでご紹介します。
水溶性食物繊維は水に溶ける食物繊維で、腸内の腸内細菌によって発酵・分解されます。これにより腸内フローラのバランスを改善し、腸内環境を整えます。また、エネルギー源としても利用され、満腹感を維持する効果があります。
大豆ミルラン、ビートパルプ、小麦ふすまななど
不溶性食物繊維とは、水に溶けない食物繊維のことで、便に水分を多く含ませ腸を刺激することで蠕動(ぜんどう)運動を活発にします。(胃が収縮運動を行うことを蠕動運動といい、活発になることで便が出しやすくなります。)
ただし、一気にたくさん摂取すると便が大きくなりすぎて逆に便秘になることもあります。
セルロース、オート麦ファイバー、ピーナッツ殻など
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することで、腸内環境が整い、便通が促進され、総合的な健康状態が改善されます。