ドッグフードの良し悪しをはかる方法の一つに、「水に浮くか沈むか」という実験があります。あるメーカーサイトでは、他社との比較として水を入れたビーカーを並べ、「わが社のドッグフードは水に沈むので栄養が詰まっている!」などとうたったものもあります。
ここでは、水に浮くドッグフードの特性と、それがペットの健康に与える可能性のある影響について詳しく解説します。
まず、ドッグフードが水に浮く理由を理解する必要があります。多くのドライドッグフードは製造過程で膨張させる処理を施され、軽量で多孔質な構造になっています。これにより、水に浮きやすい性質を持つものが存在します。
また、一部のフードには製造上の理由で空気が含まれており、そのため浮きやすくなることもあります。
水に浮くこと自体は必ずしも問題ではありません。しかし、フードの品質や製造方法によっては健康リスクが生じる可能性があります。そのリスクを以下に分けて説明します。
水に浮くフードは多孔質であるため、胃の中で吸水して膨張しやすい傾向があります。この膨張が犬の胃に負担をかけることがあります。
特に食べる量が多い犬や、早食いする犬の場合、胃が膨らみすぎて胃拡張・胃捻転(GDV)を引き起こすリスクが高まります。この状態は非常に危険で、迅速な治療が必要です。
多孔質とは
物体中に微細な空孔が多数存在すること。
水に浮くフードの中には、質の低い原材料が使用されているものもあります。例えば、加工の過程で空気を含ませて見た目の量を増やしている場合、中身の栄養価が低い可能性があります。
栄養面での懸念の例
・栄養が詰まってない分軽くなっている
・かさ増しをするために発泡剤が含まれている
・満腹感を重視した結果、膨張剤が入れられている
動物性油脂は酸化しやすい性質を持っています。 保存状態が悪いと、酸化した油脂がフードに含まれる可能性があり、これが犬の体に有害な影響を与えるとされています。
また、動物性油脂を摂取すると、消化不良や内臓への負担が増加し、犬が必要とする栄養素を十分に摂取できず、長期的には慢性的な健康問題を起こす可能性があります。
動物性油脂が問題視される理由
・出所不明の原材料の使用
・肥満の原因
・アレルギーのリスク
賛否両論ありますが、個人的には水に浮くドッグフードが悪いとは断言できないと思っています。そもそも、ドッグフードが水に浮く、浮かないは、粒の密度や比重に関係してくるものであって、栄養成分の凝縮に左右されるものではないからです。
ドッグフードの密度や比重は、製造工程の詳細によって変わってきます。詳しい製法については各メーカーによって違いますし、完璧に公開されているものではないのではっきりとは断言できませんが、必ずしも発泡剤や膨張剤の使用で水に浮くというわけではありません。
しかしながら、栄養分を無視してかさ増しのためだけに膨張させてスカスカにしているというドッグフードもあるため、単純には決められないというのが現状です。ただ、栄養成分については、各社公開していますので、表示ラベル等で判断することが可能です。
また、「動物性油脂が吹き付けられ水を吸収しない」という点については、油脂を製造段階で加えるか、製造後に吹きかけるかによって水での浮きやすさが変わるので、根拠としては少し弱いです。(最後にコーティングする方が沈みにくくなります。)
さらに言うと、以前市販のドッグフードで試したことがあるのですが、冬の時期にはなかなか沈まなかったのに梅雨に同じようにしたら水に沈んでしまったということがありました。栄養素が・・・というより湿度に影響している部分もあるのだと思います。
愛犬がドッグフードを食べないときに水(お湯)でふやかした経験がある飼い主さんは多いと思います。このとき、ドッグフードがなかなかふやけなかったことはありませんか?
ほとんどのドライフードは40度くらいまで水を温めるとふやけるのですが、一部そうではないものもあります。
お湯を加えて完全にふやけるまでの時間は、だいたい2~5分程度。10分以上経ってもふやけないドッグフードは、犬のお腹の中でも長くとどまる可能性があるため、消化があまり良くないものだと考えられます。
消化に時間がかかる分腹持ちがよいのでダイエット中の犬には効果的ですが、胃腸に負担がかかるためお腹の弱い犬や老犬にはおすすめできません。