紀州犬と柴犬の違い

紀州犬とは、近畿地方の和歌山、三重、奈良の3県にまたがる紀伊山地、昔の紀伊国の山岳部で、主にイノシシ狩り用の犬として、愛された犬です。1934年には天然記念物としての指定を受けています。

 

この記事では紀州犬の寿命や性格、飼育のポイントなどについて解説します。

 


紀州犬の大きさ・寿命・見た目の特徴

紀州犬

犬種 紀州犬
原産国 日本
体重 18~25kg
寿命 12~15歳

 

紀州犬は日本犬の中でも中型犬に分類される犬種で、その洗練された見た目と高い運動能力で知られています。体高はオスで約52–55cm、メスで約49–52cm、体重はオス・メスともに約18–25kg程度が一般的です。

 

その体型は筋肉質で引き締まっており、狩猟犬としての能力を発揮するのに適した構造を持っています。

 

被毛は短く密生しており、ダブルコートです。外毛は硬く、内毛は柔らかいのが特徴で、風雨から身を守るための機能性を備えています。

 

毛色は白が最も一般的ですが、胡麻(ごま)や赤毛の個体も存在します。その顔立ちは鋭く、耳は三角形で立ち耳、尾は巻き尾または差し尾で、日本犬らしい気品を感じさせます。

 

寿命は平均して12–15年とされていますが、健康管理次第ではそれ以上生きることも可能です。適切な運動と食事、そして定期的な健康チェックが寿命を延ばす鍵となります。


紀州犬の歴史

紀州犬は日本の和歌山県紀伊半島を発祥とする犬種で、古くから狩猟犬として活躍してきました。

 

その歴史は数百年以上にも及び、主にイノシシや鹿などの大物を狩るために用いられてきました。紀州の険しい山岳地帯での狩猟に適応するため、高い持久力と俊敏性、そして鋭い嗅覚を備えています。

 

紀州犬の起源には諸説ありますが、古代日本に存在した土着犬と、外来の犬種が交配して生まれたと考えられています。1934年には天然記念物に指定され、日本犬保存会をはじめとする団体によってその純血性が保護されています。

 

また、紀州犬はその勇敢さと忠誠心から戦国時代の武士たちにも愛されていました。その結果、地域住民のみならず日本全国で評価されるようになり、現在でもその狩猟能力と家庭犬としての性格の良さが高く評価されています。

紀州犬の性格と飼育のポイント

紀州犬の性格は非常に忠実で、家族に対して深い愛情を示します。一方で、独立心が強く、やや頑固な一面も持っています。このため、飼い主にはしっかりとしたリーダーシップと一貫性のあるしつけが求められます。

 

紀州犬は警戒心が強く、番犬としても優れていますが、適切な社会化が不足すると他の犬や見知らぬ人に対して攻撃的になる可能性があります。子犬の頃からさまざまな環境や人々に触れさせることで、バランスの取れた性格に育てることが重要です。

 

また、紀州犬は非常にエネルギッシュで運動量が多いため、毎日の散歩や運動が欠かせません。特に広い場所での自由運動が理想的です。運動不足はストレスや問題行動の原因になるため、飼い主には時間と体力が求められます。

 

食事については、高品質なドッグフードを与えることが基本ですが、紀州犬はアレルギーを起こしやすい傾向があるため、適切な食事管理が必要です。さらに、被毛のケアとして週に1–2回のブラッシングを行い、抜け毛や皮膚トラブルを防ぎましょう。

紀州犬の値段はどれくらい?

紀州犬の子犬の値段は、一般的に15万円–30万円程度が相場です。しかし、血統や繁殖元のブリーダー、さらに毛色や性別によって価格が変動することがあります。

 

特に、ショーでの実績がある親犬から生まれた子犬や、純白の毛色を持つ個体は高額になる傾向があります。

 

ブリーダーから直接購入する場合、繁殖環境や親犬の健康状態を確認できる点で安心です。また、信頼できるペットショップや、紀州犬専門の保護団体から迎え入れる選択肢もあります。

 

購入前には十分な情報収集を行い、信頼できる販売元を選ぶことが大切です。

 

さらに、購入後には予防接種や健康診断、日常的なケアにかかる費用も考慮する必要があります。初年度にはおおよそ5万円–10万円の医療費が必要とされることが一般的です。

紀州犬と柴犬の違い

紀州犬と柴犬の違い

紀州犬と柴犬はどちらも日本犬ですが、その大きさや性格、用途にいくつかの違いがあります。

 

大きさ

紀州犬は中型犬に分類される一方、柴犬は小型犬~中型犬に分類されます。そのため、体高や体重に大きな差があり、紀州犬のほうが一回り大きいです。

 

性格

紀州犬は非常に忠実で、家族に対する愛情が深い一方、警戒心が強い傾向があります。一方、柴犬は独立心が強く、フレンドリーな性格を持ちながらも自立した一面を持っています。

 

用途

紀州犬は主に狩猟犬としての役割が強調されており、イノシシや鹿などの大物を追うために育てられてきました。一方、柴犬は小動物の狩猟や番犬として活躍してきた歴史があります。

 

外見

両者とも立ち耳と巻き尾が特徴ですが、紀州犬は筋肉質でやや大型、柴犬はコンパクトで小柄な体型をしています。また、紀州犬の毛色は白が一般的ですが、柴犬は赤毛や黒毛など多彩な毛色があります。


紀州犬がかかりやすい病気

紀州犬は比較的健康な犬種ですが、いくつか注意すべき病気があります。

 

股関節形成不全

紀州犬は中型犬特有の疾患である股関節形成不全にかかりやすい傾向があります。この病気は、股関節の構造が異常であるために関節炎を引き起こし、歩行困難や痛みを伴うことがあります。適切な体重管理と運動が予防に重要です。

 

皮膚疾患

紀州犬は皮膚が敏感で、アレルギー性皮膚炎や湿疹が起こりやすい犬種です。ダニやノミなどの外部寄生虫に注意し、定期的なブラッシングと清潔な環境を保つことが必要です。

 

眼疾患

緑内障や白内障といった眼疾患も紀州犬で見られることがあります。定期的な健康診断を行い、早期発見と治療が重要です。

 

消化器系の問題

食事内容や与える量が適切でない場合、下痢や嘔吐といった消化器系の問題が発生することがあります。高品質なフードと規則正しい食事スケジュールを心がけましょう。

 

心室中隔欠損

心室中隔欠損とは、心臓の二つの下部心室(右心室と左心室)を分ける壁(中隔)に穴が開いている状態のことをいいます。この穴により、酸素が豊富な血液が右心室に漏れ、肺に戻ることで、心臓や肺に過剰な負担をかけることがあります。

 

心室中隔欠損症、甲状腺機能低下症、股関節形成不全、消化器系疾患、皮膚疾患、外耳炎、緑内障など。

紀州犬におすすめのドッグフード

紀州犬のドッグフード選びのポイントと特徴やかかりやすい病気を考慮したおすすめドッグフードをご紹介します。

 

紀州犬のドッグフード選びのポイント

紀州犬はその丈夫な体質で知られていますが、特定の病気にかかりやすい傾向があります。特に、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、心室中隔欠損などが挙げられます。

 

これらの健康問題を考慮して、適切なドッグフードを選ぶことは、愛犬の健康維持に大変重要です。

 

アレルギー対策

犬がアレルギーを起こしやすい穀物(特に小麦や大豆)は避けることをおすすめします。グレインフリーのドッグフードを選ぶか、少なくとも穀物不使用のオプションがあるフードを探しましょう。

 

例えば、魚(サーモンやタラ)やラム肉を主原料としたドッグフードは、一般的にアレルギーを引き起こしにくいとされています。

 

着色料、香料、保存料などの人工添加物は、犬のアレルギーを引き起こす可能性があるため、無添加または天然由来成分のみのドッグフードが推奨されます。これにより、皮膚の健康を保つことができます。

 

心臓の健康

心臓の健康をサポートするには、質の高いタンパク質が必要です。チキン、ターキー、サーモンなどの動物性タンパク質が豊富なドッグフードが適しています。タンパク質の比率が高いドッグフードは、心臓の筋肉を強化し、全体的な健康を支えます。

 

また、サーモンや亜麻仁油などに含まれるオメガ-3脂肪酸は、抗炎症効果があり、心臓の健康に良い影響を与えます。これらの成分を含むドッグフードを選ぶと、心臓病のリスクを軽減することが可能です。

 

消化器の健康

腸内環境を整える成分(乳酸菌など)が含まれるドッグフードもおすすめです。これにより、消化器系の問題を防ぐことができます。

 

栄養バランス

紀州犬のライフステージ(子犬、成犬、シニア)に合わせた栄養バランスを考慮することも重要です。成犬用、シニア犬用など、年齢別に最適化されたドッグフードがあり、これらは愛犬の特定の栄養ニーズに対応しています。

 

紀州犬の健康を考慮したドッグフードを選ぶ際には、愛犬の特有の健康問題に焦点を当て、無添加で高品質なタンパク質を多く含むフードを選ぶことが推奨されます。

 

また、定期的に獣医師の意見を仰ぎ、ドッグフードを変更する際には徐々に切り替えることで、消化器系への負担を軽減することができます。

 

紀州犬におすすめのドッグフード

高品質なたんぱく質、オメガ3脂肪酸などが含まれる紀州犬におすすめのドッグフードを3つご紹介します。

 

モグワンイメージ1
総合評価
/5点満点中
  • アレルギー対策
  • 心臓の健康
  • 消化器の健康
  • 栄養バランス
モグワンの特徴

手作り食のレシピに基づき「食いつき」と「健康」の両立を目指して開発されたドッグフード。乳酸菌配合で紀州犬の消化器の健康をサポートします

カナガンサーモンイメージ1
総合評価
/5点満点中
  • アレルギー対策
  • 心臓の健康
  • 消化器の健康
  • 栄養バランス
カナガンサーモンの特徴

生サーモン、乾燥サーモン、乾燥ニシンのたんぱく質を30%以上使用。骨と関節の健康を維持するグルコサミン・コンドロイチンも配合されています。

ナチュラルドッグフードイメージ1
総合評価
/5点満点中
  • アレルギー対策
  • 心臓の健康
  • 消化器の健康
  • 栄養バランス
ナチュラルドッグフードの特徴

アレルギーを起こしにくいラム肉を主原料としたグレインフリードッグフード。皮膚炎を起こしやすい紀州犬におすすめです