ドッグフードの歴史

もともと野生だった犬が人間に飼育されるようになって、ペットフードの開発も行われるようになりました。最初は空腹を満たすためのものだったのが、今では栄養バランスも考えられるようになり様々な種類のドッグフードが販売されています。

 

この記事では、ドッグフードがどのようにして誕生したのか、また、日本ではいつ頃どんな種類のドッグフードが発売されるようになったのかご紹介します。

 


ドッグフードの起源

毎日愛犬に与えるドックフードですが、これがどうやって誕生したのかをご存知ですか?

 

今から約150年前、イギリスの船乗りが食料用として積み込んでいたのがビスケット。賞味期限が長いということで積み込まれていましたが、あまりおいしいものではなかったため航海後はすべて捨てられていました。

 

すると、お腹を空かせた野良犬が集まって全部食べてしまったようです。それを見ていたアメリカ人のジェームス・スプラットさんが「これだ!!!」とひらめいたわけですね。このあと、彼はペット用ビスケットの製造を事業化しています。

 

これが商品としてのドッグフードの始まりだといわれています。

 

10年後の1870年には製粉業者が穀物使用のドッグフードづくりをはじめ、アメリカ中心にミルクボーンビスケット、缶詰ドッグフード、ドライドッグフードなどが発売されるようになりました。

日本ではいつ頃ドッグフードが発売された?

日本にドッグフードが入ってきたのは第二次世界大戦中。このころは日本人が飼っている犬ではなく、警察犬や日本に住むアメリカ人が飼っている犬用のフードがほとんどでした。

 

なので、このころは流通していたというより「動物用医薬品」として少量が出回っていたといった感じでした。

 

日本で犬用フードが初めて発売されたのは、イギリスで犬用ビスケットが発売されてからちょうど100年後の1960年。「ビタワン」という名のドッグフードです(現在は日本ペットフードが製造販売)。

 

パッケージを見て思い出す方もいるのではないでしょうか。販売当時は今のように量販店やペットショップがなかったため、同じような大きさの袋入りということでお米屋さんに置かれていたようです。

 

ビタワン発売の1960年から70年代の約10年間は開拓期と呼ばれ多くの企業がペットフードの開発を始めています。そして、1970年代~2000年ごろは成長期といわれ、味付けや粒の大きさなどにこだわった改良型ドッグフードが販売されるように。

 

それら開拓期、成長期を経て今突入しているのは成熟期。ドッグフードという言葉は誰でも知っているものになり、ただ犬のお腹を満たすものではなく安心安全を追求したものがつくられています。

ペットフードの流通量は減っている?

ドッグフードの販売数は、2005年をピークに少しずつ減っていますが、出荷金額は微増を続けています。これは実はペットの数が減っているのではなく、大型犬から小型犬の需要が高まったこと、量より質にこだわる飼い主が増えたことが影響しています。

 

また、年齢別、病気別、犬種別などで種類が分けられ給餌量も細かく設定されているので、今までのように「犬が食べたいだけ与える」ことが少なくなったことも理由の一つにあるようです。

2020年以降のドッグフード

2020年以降も、ドッグフード市場は引き続き成長を続けています。世界市場規模は2024年に126億米ドルに達し、2030年には616億ドル予想に達すると予測されています。

 

この成長の背景には、ペットの家族化や健康志向の傾向があり、特に高品質で栄養価の高い製品へのニーズが増加しています。

 

日本国内においても、ペット関連市場は拡大傾向にあります。2020年度のペット関連市場規模は前年度比3.4%増の1兆6,242億円と推定されており、ペットフード市場も同様に成長しています。

 

特に、無添加やグレインフリーなど、品質や安全にこだわる飼い主が増えており、高付加価値商品の需要が高まっています。コロナ禍で室内でペットにかける費用が増えたことも影響しました。

 

また、ペットの健康管理に対する意識の水準から、機能性成分を含むフードや、特定の健康ニーズに対応した製品の開発が進むと予想されます。

 

さらに、オンライン販売の拡大やサブスクリプションサービスの普及により、消費者の購買行動も変化しており、メーカーもこれらの動向に対応したマーケティング戦略が求められるでしょう。

 

しかし、ペットの飼育頭数は減少傾向にあり、2000年代動揺大型犬の飼育数は減少しています。さらに、犬の販売経路も見直す流れが来ていて、ペットショップでの取り扱いも今後減少する見込みです。

 

現在では、ドッグフードの値上げや1頭にかける金額が多いことからドッグフードの市場は上昇していますが、少子高齢化による人口減少などによりいずれ減っていくことも大いに考えられます。